FIT以降 太陽光発電普及促進に必要な提案とは?
2016/08/03
これからの太陽光発電に求められることは何か。再エネの達人に聞いた。
さらなる普及促進には地域住民との調和が大事
2012年7月のFIT開始以降、太陽光発電の導入が一気に増えました。一方で、自然災害による設備の倒壊や森を破壊する開発など色々な問題も出てきました。やはり地域住民と調和するかたちで太陽光発電は導入を進めるべきだと思います。そのことにきちんと向き合わなければ、これからの太陽光発電の普及促進はないと考えており、協会としても広報活動を強化したいと思います。
太陽光は始まったばかり。これからが正念場
農林水産省が地域に根付いた再生可能エネルギー導入を進めています。日本の農山漁村には後継者不足、高齢化、過疎化などの共通の課題がありますから、太陽光を含めて再エネで地域活性化になれば良いと思います。いずれにせよ、太陽光発電の本格導入はまだ始まったばかりでケーススタディしているような状況です。成功事例をもっと積み上げていかなければいけません。買取価格が下がったからといって今の状態で投げ出すと何も根付きません。これからが本当の正念場ですから、長期的に太陽光発電事業を継続することを念頭に置いていただきたい。しっかりした事業計画作り、しっかりした設備設計をして、しっかりした施工をすれば、ちょっとしたメンテナンスで長期安定的な運営ができると思います。
今後の住宅用に必要なのはライフスタイルを含む提案
住宅用に関しては、かつては余剰買取しかありませんでしたが、それなりに設置者は潤っていました。ただ、FIT以降は、太陽光発電の導入コストが大幅に下がり選択肢も増えたため、これからは普通に住宅設備として、品質や施工にこだわり、利用者へメリットをきちんと伝えなければなりません。今後は設備を提供するサプライヤーとしてのビジネスになるでしょう。かつてはわざわざ自宅に太陽光発電を設置するような人は、採算を度外視して環境貢献を考える人などが主流でした。コストが高く採算が合わなかったからです。一般の人が住宅を中心とするライフスタイルを考えることで快適な住環境をつくる選択肢の1つとして太陽光発電を考える時代になりました。私は30年間この業界に携わって、やっとそういう時代が来たなと感慨深いです。住宅用は今後も絶対になくならないでしょうし、これからが本当の意味で住宅設備として普及する時代になるでしょう。
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA) 事務局長 亀田正明氏
1985年三洋電機株式会社入社。太陽電池技術の研究開発や太陽電池セルの品質管理等に従事。1998年~2001年には日本電機工業会(JEMA)担当課長として、太陽光発電の標準化事業を担当。2004年には太陽光発電の認証事業創生により、日本電機工業会会長特別賞を受賞。2015年に事務局長就任。
取材・文/大根田康介
※『SOLAR JOURNAL』vol.17 より転載