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国交省、洋上風力導入へ法整備 埠頭の長期貸付や、コンテナ船舶の寄港促進も

10月18日、国土交通省は、洋上風力発電設備の基地となる拠点港湾を整備する法律案が閣議決定されたと発表した。資機材を扱う埠頭を長期で貸し付ける制度のほか、コンテナ船舶の寄港促進に向けた項目も含まれる。洋上風力発電の導入促進に向けた法整備が本格化している。

発電事業者の港湾利用30年に
外国コンテナ船の寄港増も

洋上風力発電設備は、地上に設置する風力発電設備より大きく、回転する羽や支柱の長さは80から90m、重量は数十トンから数百トンに及ぶ。そのため、発電事業者が効率よく洋上風力発電を設置するためには、沖合の設置場所と資機材の保管拠点との距離を短縮するなど、埠頭の果たす役割が大きい。

また現在、発電事業者が港湾区域を利用する期間は、20年と比較的長期に設定されているものの、重厚長大な洋上風力発電設備の減価償却には十分でないという指摘もある。

このため、10月18日に閣議決定された法律案では、あらかじめ指定された「海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾」において、発電事業者に対し埠頭を長期間にわたって貸し付ける制度を創設した。発電事業者の港湾区域における利用期間も20年から30年に延長し、洋上風力発電設備の新規開発を後押しする狙いだ。

同時に、外国企業のコンテナ船の寄港回数を維持、増加させるため、外国企業へのPR情報を国交省が提供することや、指導・助言等を通して寄港促進を支援することも盛り込まれた。



有望区域は国内4海域
2030年まで5事業目指す

今回の改正法律案の決定の背景には、2018年11月に成立した「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」がある。再エネ海域利用法では、全世界の洋上風力の約8割を占める欧州の事例を参考とし、洋上風力を優先的に整備できる促進区域を指定することができる。

この指定に向け、2019年7月には促進区域の中でも設置可能性が高い有望区域として4海域が選定された。この4海域は以下のとおり。(1)秋田県能代市、三種町および男鹿市沖、(2)秋田県由利本荘市沖(北側・南側)、(3)千葉県銚子市沖、(4)長崎県五島市沖だ。

今後は2030年度までに、促進区域において5事業の洋上風力発電の運転開始を目指す。再生可能エネルギーの主力電源化に向け、大規模な発電ができる洋上風力発電は、海に囲まれた日本にとって導入の余地が大きい。新規開発を後押しする制度と同時に、海域を利用する地元の利害関係者との調整や、防衛面や環境への配慮なども求められる。


DATA

国土交通省 報道発表資料


文/山下幸恵

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