編集部からのお知らせ

国際エネルギー機関が発表! 2019年新設の再エネ発電容量の見通しとは

国際エネルギー機関(IEA)は、2019年に世界で新設される再生可能エネルギー発電容量は前年比12%増の約200GWとの見通しを発表した。このうち太陽光発電システムの新規導入量は前年比17%増の115GWに達し、再生可能エネルギー新規導入量の半分以上を占めるとしている。

ベトナムの太陽光発電市場
2019年新規導入量の見通し

IEAは、2019年には欧州における導入拡大を見通しているほか、ベトナム、インド、米国及び日本も市場が拡大するとみている。ここに挙げられた国のうち、インドと米国及び日本は、中国に続く2018年新規導入量の上位国であるが、ベトナムは、2019年の急成長国としてとりあげられている。

ベトナム電力公社(EVN)の統計によると、ベトナムでは2019年6月末のフィードイン・タリフ(FIT)制度で認可されたプロジェクトの稼働期限(一部を除く)を前に電力事業用太陽光発電所が多数導入され、同月末までの12ヶ月で82基・計4.46GWが設置・系統連系された。

このうち4.3GWが4~6月の11週間に設置・系統連系されたという。ベトナムにおける2018年6月時点の太陽光発電システム累積導入量は10MWであったため、1年間で導入量が400倍以上に拡大したことになる。EVNによると、13基・計630MWの太陽光発電システムが2019年下期に系統連系予定であり、2019年通年の新規導入量は5GWを超える見通しである。



FIT制度の開始
その投資結果とは

上記の太陽光発電プロジェクトは、2017年4月にベトナム政府が発表したフィードイン・タリフ(FIT)制度によるものである。FIT制度は系統連系形大規模地上設置型太陽光発電所に適用され、20年間、2,086ベトナム・ドン/kWh(9.4米セント/kWh)(税抜き)でベトナム電力公社(EVN)が買い取ることが決定され、稼働期限が2019年6月30日に決定された。

FITの適用を受けられるのは、太陽電池セル変換効率16%以上、同モジュール15%以上の製品を使用する場合のみで、太陽電池の技術の種類は問わない。屋根設置型や独立形プロジェクトにも同じFITが適用される。

太陽光発電事業者が固定資産となる物品を輸入する場合には免税となることも盛り込まれ、太陽光発電プロジェクトの開発事業者は、最大12年間の投資資本(運転資本を除く)の70%までの低金利融資をベトナム開発銀行(VDB)に申請することが可能となった。

FIT制度が開始されたことで、世界各国のデベロッパが太陽光発電所の開発を計画し、ベトナムへの投資が集中する結果となった。日本の企業もFIT制度による大規模太陽光発電プロジェクトにEPCとして参入している。

2019年6月初めにシャープエネルギーソリューションは、2019年6月5日にタイ・Sermsang Power(SSP)とSSP傘下のベトナム・Truong Than Quang Ngai Power And High Technology Joint Stock等と共同でクアンガイ省に49MWの太陽光発電所を完成させたと発表した。この発表の時点で同社がベトナムで稼働させた太陽光発電所は4基・計195MW(DC)となったという。日揮も2019年6月にベトナムで2件のメガソーラー(総発電量約120MW)を完成させた。



屋根設置市場の成長?
ベトナム市場2025年の目標とは

大規模太陽光発電所市場の今後の継続性は、改正後のFIT制度及び系統の状況にかかっている。2019年9月にベトナム商工省(MOIT)は、太陽光発電システム向けのフィードイン・タリフ(FIT)の新制度の草案を発表したと報じられた。これまで検討されていた地域別のタリフの導入は見送られ、全国統一のタリフが提案された。

提案されているFIT(付加価値税(VAT)を除く)は、地上設置型太陽光発電システムの場合は、1,620ベトナム・ドン/kWh(7.09米セント/kWh)である。新制度が適用されるのは、2019年7月1日~2021年12月31日までに系統連系するプロジェクトである。ただし、ベトナム・ニントゥアン省で開発中のプロジェクトには以前のFIT(9.35米セント/kWh)が2021年まで延長して適用される(適用の上限は2GWまで)。水上設置への優遇も盛り込まれており、水上設置市場の活発化も期待されている。

ベトナムでは、屋根設置市場の成長も期待されている。ベトナム電力公社(EVN)は、2020年末までにベトナムに計2GWの屋根設置型太陽光発電システムが設置されるとの見通しを表明している。EVNは、2019年8月までの3ヶ月間に4,000世帯以上が計200MWの屋根設置型太陽光発電システムを設置し、同年末までにさらに300MWが増加すると見ている。同国は2019年6月末が申請期限であった太陽光発電システムのフィードイン・タリフ(FIT)について、屋根設置型太陽光発電システム向けについてはタリフを9.35米セント/kWhに据え置いたまま2021年まで継続する方針であり、今後も導入量増加が見込まれるとしている。なお、ベトナムは、2025年末までに計10万基の屋根設置型太陽光発電システムを設置する目標である。
 

DATA

文/資源総合システム 調査事業部 部長 貝塚泉
 

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 【申込受付中!】12/10東京開催!「系統用蓄電池ビジネス」セミナー 蓄電所市場で勝ち抜くヒント...
  2. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  3. 地域の合意形成を伴走支援 再エネ導入の新たなモデルに ~ 宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行 ~...
  4. 瓦屋根を再現したJackery社の太陽光パネルが2024年度グッドデザイン賞を受賞...
  5. 【参加受付中!】2025年1月29日(水)「第32回PVビジネスセミナー」
  6. 【11月20~22日開催】『第12回PV EXPO関西』の注目ブースとカンファレンスなどの見どころを完全紹介!...
  7. 専門家に聞いた! 日本に「垂直ソーラー」が必要な理由とは?
  8. ハンファジャパンが新製品「Re.RISE-G3」を発売!トークショーにヒロミさんが登壇し一日アンバサダーに就任...
  9. 第7次エネルギー基本計画、年内に骨子案を固める 脱炭素電源の構成比率が焦点に...
  10. 【注意喚起】FIT/FIP 申請書類における書類作成者以外の加工は厳に慎んでください...
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ