ハリウッド俳優が語る環境問題、「エンタメ業界が炭素市場の合理化をリードすべき」
2019/12/24
『ファイトクラブ』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』出演のエドワード・ノートンは、父親が環境活動家という家で育った。彼自身も環境活動家になったのは自然なことで、環境問題への取り組みは「家族の仕事」と話す。
地道な活動を続ける
活動家としての顔
ハリウッド俳優の中でも高い演技力が評価されているエドワード・ノートン。彼は様々な分野で地道な活動を続けている。祖父母が設立し、低所得者が購入可能な住宅地開発を行う非営利団体の役員を務め、アフリカでの密猟を阻止する団体のアメリカ代表として資金集めに尽力してきた。
環境問題では、エネルギー関連企業BPと「ソーラー・ネイバーズ・プログラム」を推し進め、元彼女のサルマ・ハエックやセレブ仲間のブラッド・ピットなどの協力も取り持った。ノートンが自宅にソーラーシステムを入れる際にBPに提案したこのプログラムは、セレブが自宅にBPの太陽光発電システムを購入すると、同じようなシステムをロサンゼルスの低所得者の家にBPが無償で導入するというものだ。
活動家として抱く
業界への思い
「セレブは政治や社会問題にひっそりと関わるべきだ」とかつて話していたノートン。新作映画『Motherless Brooklyn』で主演・監督などを務めた彼にVariety紙が環境問題について尋ねるとこう答えた。
「すべての業界が環境問題に取り組むことで、彼らがやってきたネガティブなビジネスモデルを和らげられると思う。すべての映画やテレビ番組が環境に関するメッセージを持っているわけではないけど、自然への敬意や無頓着な行動の結果に関するテーマが効果的に物語に織り込まれているのは素晴らしいことだよ。特に子供向けの番組(プログラム)にはね。なぜなら僕らは、実際に子供達の世界観をプログラミングしているんだから」。
同紙のインタビューでノートンは、自身が身を置くハリウッドにも物申した。
「全てのテレビおよび映画会社、そして大手の複合メディア企業で働く人は全員、認証済みのREDD+のカーボンクレジットを直接購入して、“空の旅を相殺させる”という簡単な一歩を踏み出すべきだ。カーボンの相殺に関連するコストを実際に反映した価格のクレジットを購入して、炭素市場の合理化をリードすべきだよ。エンターテインメントとメディア業界がこれを行えば、炭素市場はすぐに多大な影響を受けるからね」。
『Motherless Brooklyn』を作るに当たり、カーボンクレジットをどうしたか気になるところだ。
※ REDD+は、途上国における森林減少・劣化の抑制や持続可能な森林経営などによって、温室効果ガス排出量を削減あるいは吸収量を増大させる気候変動対策。
PROFILE
エドワード・ノートン
1969年、アメリカ生まれ。1996年に『真実の行方』のアーロン役に抜擢されて映画デビュー。その好演により、ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞。小説『Motherless Brooklyn』の映画化で監督を務めるなど、幅広い活動をしている。
取材・文/はせがわいずみ
SOLAR JOURNAL vol.31(2019年秋号)より転載