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ついに、FITからFIPへ! 市場価格に上乗せされる「プレミアム」ってどう決まる?

大規模太陽光など「競争電源」については、市場価格に連動した補助制度に変えていく。FITからFIPへ。新制度のスタートは、早ければ2021年4月から。いったい、どんなプレミアムがついてくるのか?

市場価格に
プレミアムを上乗せ

これまでのFITは、発電事業者が発電した電気を、電力会社(一般送配電事業者)が「固定価格」で「買い取る」ことを約束する制度だった。一方、FIP(フィード・イン・プレミアム)は、発電事業者みずからが電力市場で電気を売ることを原則とする。その売電に際して、変動する市場価格にプレミアム(補助額)を上乗せする制度がFIP制度だ。最終的には市場価格そのものでの取り引きが求められる競争電源だが、まずはプレミアムという補助をつけて、段階的に市場原理に近づけていこうというわけだ。


日本版FIPが目指すもの

FIP制度への移行は、世界に先駆けてFIT制度を導入し再生可能エネルギーの普及をすすめてきた欧州諸国を中心に、2014年頃から本格化してきている。ただ、FIP制度と一口にいっても、その実態は国ごとに異なる。対極にあるのは、市場価格に一定のプレミアムを上乗せる「全期間固定型プレミアムFIP」と、市場価格に応じてプレミアムを増減する「完全変動型プレミアムFIP」だ。

全期間固定型は、市場価格の変化がそのまま売電価格の変化になるので、事業者に市場を意識した行動をとらせやすいが、収入予測が難しいという投資上のリスクがある。完全変動型は、市場価格の変化をプレミアムの増減で吸収することで売電価格を一定に保ち、投資リスクを抑えることができるが、市場原理には適わない。

経済産業省は、日本版FIPを全期間固定型と完全変動型の中間的な制度とし、「投資インセンティブの確保」と「市場を意識した行動」の双方の効果が生じる仕組みにしていく方針だ。具体的には、市場価格に連動する「固定型プレミアムFIP」をベースにしつつ、プレミアムの額を全期間固定にするのではなく、一定期間(1ヶ月〜1年程度)ごとに見直していくというもの。これにより、市場原理を活かしつつ、ある程度の投資予見性も確保できるとしている。

<全期間固定型プレミアムFIP>

<完全変動型プレミアム>FIP

プレミアムの決め方は?

では、プレミアムの額は、どうやって決めるのか。基本的には、売電収入の基準となる価格「FIP価格」をあらかじめ定め、一定期間の市場価格を平均化した「市場参照価格」との差額をもって「プレミアム」とする。日本版FIPでは、同一の市場参照価格を適用する期間をある程度短くして、見直しの機会を設けていくことになる。



FIP価格(基準価格)の決め方については、これから議論されるところだが、そこに入札をどう絡めていくかなど検討課題は多い。対象電源についても、「市場への統合による効果が期待できるもの(競争電源)を念頭に置きつつ、各電源の導入量やコスト低減等を踏まえ、調達価格等算定委員会において適用対象を決定する」としている。新制度のスタート時期も、2020年度末以降であることしか確定してはいない。いずれにしても詳細な制度設計は、まだまだこれからだ。議論のゆくえを注視していきたい。

日本版FIP制度のイメージ

<FIPの考え方>

基準価格(FIP価格):予め決定した売電収入の基準となる価格(固定)

参照価格:プレミアムを算定するために指標とする価格。一定期間の平均市場価格(一定期間内は固定。長期的には変動)

プレミアム:FIP制度において発電事業者が受領するプレミアム収入(基準価格と参照価格の差。一定期間内は固定。長期的には変動)

※基準価格が参照価格を下回った場合、プレミアムは付与されないが、更にネガティブ・プレミアムとするかは要検討。



取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.31(2019年秋号)より転載

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