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美作市の「事業用発電パネル税」 JPEAが発電事業者にアンケート実施

美作市の「事業用発電パネル税」条例案。4度の継続審査を経て、萩原市長の辞職による議会の閉会で廃案となった。事態は終局したかにみえるが、二重課税かどうかという議論は尽くされていない。反対の立場を貫いてきたJPEAが実施したアンケート結果では、さらなる課題も浮き彫りになった。

「全く知らない」が2割

9月10日、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が、岡山県美作市の事業用発電パネル税について実施したアンケートの調査結果を発表した。アンケートの依頼先は、美作市に太陽光発電設備を所有もしくは建設準備を進めている106の発電事業者だ。2020年6月19日から7月20日の約1ヶ月間に調査された。

回答が得られたのは44%の51の事業者だが、アンケートを送付した事業者の認定設備容量の約9割を占める。このうち、調査時点でパネル税の存在を「全く知らない」と答えたのは、約2割の事業者だった。また「パネル税の導入に関し、美作市から説明を受けたか」という設問に対しては、90%の事業者が「未だ説明を受けていない」と回答した。約7割の事業者が、美作市からの説明を希望している。

二重課税の疑念に結論出ず
市長辞任でうやむやの廃案

パネル税の発電事業への影響については、半数を超える事業者が「経営上問題となる可能性がある」もしくは「事業継続が困難となる影響が懸念される」と答えた。

その理由として『後出しの想定外の税負担となり、借入金の返済や長期運用の為の設備(パワコン等)更新費用の計画が成り立たなくなる』『太陽光発電事業者の収入は、FITで決められた売電収入のみなので、経営努力で税負担をすることはできない。想定した収益が確保できなくなり、借入金の返済計画にも影響が出てしまう』という声があがった。

結果は、98%の事業者がパネル税の導入に反対というもの。二重課税という懸念に加え、導入の理由や課税目的に納得がいかないという意見も多かった。賛成と答えた1事業者も、自治体の決定であれば従わざるをえないが、新規投資はしない旨の回答をしている。

パネル税の条例案は2019年6月の発案以来、9月、12月、2020年3月の議会で継続審議となっていた。学識者や弁護士なども交え検討を重ねたが、二重課税についての明確な回答は得られていない。2020年6月、萩原市長の辞任で議会が閉会したことで審議されないまま廃案となった。萩原市長は8月の市長選で再選している。

DATA

JPEA「美作市事業用発電パネル税についてのアンケート調査結果について」


文:山下幸恵(office SOTO)

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