【特別対談】低圧セカンダリー市場の健全化に向けて 適正取引を支え資産価値を高める “評価”の力
2025/12/26
低圧太陽光発電所の買取・販売で急成長を遂げるSNT。管理不全が課題のセカンダリー市場で、同社が躍進している背景には、発電所の価値を丁寧に見極め、適正な形に再生したうえで市場に戻すという独自の姿勢がある。エクソルの「XSOL SOLAR STAR制度・補償」が、その取り組みを支えている。

増え続ける「のら発電所」
セカンダリー市場の現在地
XSOL 牧野氏 近年、管理不全な低圧太陽光発電所の増加が問題となっています。現場を熟知する加藤様から見て、いま何が起きていると感じていますか。
SNT 加藤氏 そもそも低圧のオーナーの多くは個人投資家ですから、維持管理にまで手が回っていないのが実情です。加えて、セカンダリー市場がしっかりと機能していない印象です。低圧の場合、査定をしてくれる業者さんは全国にありますが、実際に買い取って、きちんと再販できる会社はそう多くありません。買い取られても、半年ぐらい売れない案件はザラで、管理しきれず放置されてしまう発電所も増えています。
牧野氏 雑草が伸び放題、フェンスが壊れたまま、といったいわゆる「のら発電所」ですね。地域住民の方々からすると、景観や安全性の面からも懸念される存在です。
加藤氏 まさにその通りですね。太陽光発電所は数千万円の資産なのに、野ざらしのまま放置されると、地域に嫌われるマイナスの存在になりかねません。結果として、太陽光全体のイメージが悪化する。これは業界にとっても大きな損失です。
低圧太陽光の転売を健全化
SNTが実現する価値再生
牧野氏 そんな低圧セカンダリー市場において、SNTさんは年間約100件の転売を手掛けるなど、独自の地歩を築いています。改めて、どういう役割を担っているか教えてください。
加藤氏 私たちは、不動産投資の販売事業で培った大きな個人投資家ネットワークを持っています。それが低圧の発電所を〝売りきる力〟につながっています。だからこそ、管理不全に陥った発電所でも買い取って、必要に応じて改修を行い、着実に次の投資家へと手渡すことができるのです。
牧野氏 悪い物件を良い物件にしてから次に渡すという、再生事業者としての役割を担っているわけですね。買い取る対象は、どのように見つけているのですか。
加藤氏 公開されている名簿に頼るのではなく、Googleマップで1基ずつチェックして、現地調査を行ってからオーナーに打診します。そのうえで、フェンスの修繕、架台・電気設備の改修、法令面への対応など、問題点を潰していく。こうして価値再生を行うことで、放置されていた発電所が、安心して所有できる優良な資産として再流通できるようになります。
評価と補償で信頼を担保する
XSOL SOLAR STAR制度・補償制度
加藤氏 そして、私たちがこうした取り組みを実現できた背景には、エクソルさんの評価・補償制度である「XSOL SOLAR STAR(エクソルソーラースター)制度」の存在があります。
牧野氏 ありがたいお言葉です。SNTさんから見て、XSOL SOLAR STAR制度のどんな点を評価していただいていますか。
加藤氏 なんといっても発電所の価値を客観的に把握できるところ。しかも、それが金融機関の融資判断の基準にされるほど信用度が高いという点です。個人のお客様はローンを使うのが一般的ですが、信販会社との遣り取りも有利に働きます。さらに、XSOL SOLAR STAR制度制度で一定の評価を獲得した発電所には、他社よりもお得で手厚い「補償」を付けることができますから、お客様の不安がとても小さくなるのです。

「XSOL SOLAR STAR 制度」は、基本項目と査定評価項目で太陽光発電所をランク付けし、現状評価を算出する。基本項目は「設備」「施工」「土地」「法的DD(デューデリジェンス)」「地域への告知」「ハザード」の6 項目。基本項目のうちひとつでも基準を満たすことができなかった場合は、売買を推奨しない発電所ということで査定評価の対象外となる。

火災、落雷、風災、雪災、落下・飛来・衝突、水災といった主な災害事故を補償。「XSOL SOLAR STAR制度」の評価ランクが高い、品質の高い発電所ほどサービス価格が安くなる。このサービスにより、発電事業者は安心して事業を継続でき、予期せぬ災害による経済的損失を最小限に抑えることができる。
牧野氏 弊社のソーラースター制度は、「設備」「施工」「土地」「法的デューデリジェンス」「地域への告知」「ハザード」の6分野を細かく査定し、A〜Fのランクを付けを行うものです。しかし、単に現状を評価するだけでなく「直すべきところ=直せば価値が上がる箇所」を明確にするものとなっています。SNTさんのように、評価結果をもとにリパワリングを行い、ランクに引き上げてから市場に戻してくれる会社は、私たちにとっても本当にありがたい存在です。
加藤氏 私たちとしても、発電所を評価する客観的な〝物差し〟を求めていました。高圧・特高の発電所については何社かありましたが、低圧に関してはエクソルさん以外に信頼できるところはありませんで。XSOL SOLAR STAR制度制度があるからこそ、私たちも〝最低限クリアすべき品質ライン〟を絶対に下げないようにできています。逆に言うと、ソーラースター制度がなければ、セカンダリー市場でここまで信頼を積み上げるのは難しかったと思います。
牧野氏 SNTさんの事業は、まさに「放置されていた発電所を社会の資産に戻す」取り組みです。だからこそ、「未来の子どもたちに〝誇れる明日〟を残す」という弊社の理念とも非常に親和性が高いと感じています。
投資対象から地域貢献電源へ
セカンダリーの明日を拓く
加藤氏 エクソルさんから見て、今後、セカンダリー市場はどうなっていくと考えていますか。
牧野氏 理想は、地域で作った電気を、地域で使い、地域でお金を回していける社会です。将来的に太陽光のセカンダリー市場は、そうした社会インフラづくりに貢献していけると考えています。ちゃんとリパワリングされた高品質な発電所を、自治体や地域新電力が買い取り、地域内で電気をお金を循環させていく。そんな第2のセカンダリー市場ができてくることを期待しています。
加藤氏 強く共感します。新規開発は環境負荷の問題もありますが、既存の低圧発電所を活かし切れば、地域の電気代を下げる、災害に強いコミュニティをつくる、地域の価値を上げるなど様々な効果が期待できますね。
牧野氏 その未来を実現するためには、まずは市場が健全であることが絶対条件です。SNTさんのように、放置案件を丁寧に再生し、評価と補償を付けて次のオーナーにつなぐプレイヤーが増えれば、セカンダリー市場は必ず良くなります。
加藤氏 私たちも、年間300件を目標に、再生できる発電所を一つでも多く増やしたいと思っています。既存の発電所を直しながら次の世代につなげていく──その循環をつくることが、弊社とエクソルさんが共通で目指しているところだと思います。太陽光を長く生かし、地域に役立つ資産にしていける市場を一緒につくっていきたいですね。
牧野氏 ぜひ、一緒に実現させましょう。
問い合わせ
株式会社エクソル
東京本社:東京都港区芝大門2-4-8 JDBビル
TEL:03-5859-5419
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.56(2026年冬号)より転載












