“モジュール単位”で購入して自家消費を楽しもう!
2016/12/07
ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国と違い、独自の発展を遂げてきたアメリカのソーラー発電市場。今回は、アメリカで注目度が高まっているソーラーガーデンについて。
導入が進むソーラーガーデン
現在、アメリカでは、誰でも太陽光発電によって電気を自産自消し、環境保護にも貢献できる「ソーラーガーデン(コミュニティソーラーとも呼ばれる)」という方法が注目を集めている。電力消費者が、太陽光発電システムの「オーナー」になれるというもので、アメリカの至る所で建設が進められている。ソーラーガーデンとは、地元の人が参加できる太陽光発電システムであり、地域の電力会社、プロジェクトディベロッパーやNGO法人などによって計画・開発、そして運営されている。地域の電力消費者は、モジュール単位での購入が可能で、購入者はまるで自宅に太陽光発電システムが設置されたかのように、発電した電気を自家消費に当てることができるのだ。しかも、自宅に設置した時に必要となるシステム修理やメンテナンスの心配がいらないという嬉しい利点もある。現在全米では、コロラド州、ミネソタ州、カリフォルニア州などを含む10州で、ソーラーガーデンに関する法律または規定の導入が促進されている。
自産自消を促すネットミータリング
ここで重要なのは、太陽光発電による電力買取制度についてだ。
アメリカでは、「ネットミータリング」と呼ばれる、日本の余剰電力買取制度に似た制度が導入されており、アメリカの全50州のうち、すでに43州とワシントンDCで施行されている。ネットミータリングの目的は自産自消である。年間の自家消費量以上の発電は基本的にできない。つまり、投資目的ではないということだ。
日本で太陽光発電システムを設置した場合、売電メーターと買電メーターが分かれて設置される。買電メーターは電力会社からの購入した電気量を計測するもの、売電メーターは売電した発電量を計測するものであり、これらは基本的に別々に計測されるのだ。アメリカの場合は、メーターは1つしかなく、電気を購入している間は、メーターが時計回り(数値が上昇)し、発電した電力が消費量を上回る場合は、メーターが逆回り(数値が低下)するシステムになっている。つまり、発電量が消費量を上回ると、それまでの消費量は「相殺」されるというわけだ。アメリカでは、売電による「入金」が日本のようにあるわけではないが、発電量が消費量と同じ、またはそれ以上である場合は、電力会社に対しての支払額は発生しないのだ(ただし、基本料金などは支払う必要がある)。