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泉佐野電力、水上太陽光のオフサイトPPAで三井住友建設と25年間の買取契約

大阪府泉佐野市が出資する泉佐野電力は6月から、市の農業用ため池に新設した水上太陽光発電所のオフサイトPPAで電気を調達している。三井住友建設から25年間にわたって固定価格で買い取り、小売電気事業の調達コストを抑える。

(泉佐野市長滝第1・第2水上太陽光発電所の全景。提供:三井住友建設株式会社)

ため池に新設の水上太陽光
オフサイトPPAで全量売電

(貝の池の第1水上太陽光発電所。提供:三井住友建設株式会社)

 
一般財団法人泉佐野電力は6月、三井住友建設が市の農業用ため池に新設した水上太陽光発電所からオフサイトPPAによる電気の調達を開始した。これは三井住友建設初のオフサイトPPAモデルの発電事業で、経済産業省の「需要家主導による太陽光発電導入促進補助金(令和4年度予算)」に採択されたもの。ため池の所有者である泉佐野市が行った発電事業者の公募によって同社が選定された。

(穂波池、植田池の第2水上太陽光発電所。提供:三井住友建設株式会社)

 
泉佐野市長滝にある貝の池、穂波池、植田池を活用した「泉佐野市長滝第1・第2水上太陽光発電所」の合計出力は2,797kW。6月27日に落成式が執り行われた。発電された電気は、泉佐野電力が25年間にわたって固定価格で全量を買い取る。発電所には、三井住友建設が自社開発した水上太陽光フロートシステム「PuKaTTo(プカット)」が用いられている。

(6月27日の落成式。提供:三井住友建設株式会社)

 

市が出資する泉佐野電力
市場高騰で電気代に影響

泉佐野市が出資する泉佐野電力は、大阪府で初めての地域新電力として2015年に設立された。近隣地域の太陽光発電所や日本卸電力取引所(JEPX)などから電気を調達し、市有施設や民間の需要家に供給している。

しかし、近年、ウクライナ危機などの影響からJEPXの卸売価格が高騰。JEPXから電気を調達する多くの小売電気事業者が影響を受けた。泉佐野電力も例外ではなく、電気の調達コストが大きく膨らんだことで、設立以来初となる厳しい経営を強いられることになったという。
 

PPAで調達コストを安定化
ため池賃貸料が市の収入に

そこで泉佐野電力は、オフサイトPPAによって電気の調達コストを安定化させるとともに、JEPXからの調達量を抑えることに取り組んでいる。卸売価格の変動リスクの大きいJEPXからの調達量を減らし、事業リスクの低減を目指す。

さらに、このオフサイトPPAではため池の所有者である市やため池を管理する土地改良区にもメリットがある。ため池の土地貸借契約や維持管理の業務委託契約によって、市や土地改良区は三井住友建設から賃貸料や業務委託費用を得られるスキームになっている。

太陽光発電のオフサイトPPAは、需要家の電気代の安定化やCO2削減だけでなく、小売電気事業者にとっても調達コストの抑制策として注目されている。自治体のため池や遊休地を活用したオフサイトPPAは、地域脱炭素の観点からも期待が高まる。

DATA

一般財団法人泉佐野電力

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取材・文:山下幸恵(office SOTO)

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