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太陽光発電所 銅線ケーブルの盗難被害が相次ぐ 銅の価格上昇が背景に

全国各地の太陽光発電所で、銅線ケーブルなどが盗まれる被害が急増している。群馬県では前年の6倍以上にのぼり、警察はセキュリティシステムの導入などの対策を徹底するよう呼びかけている。

群馬県では
前年の6倍以上に

太陽光パネル

夜間に人通りの少ない地域が被害にあうケースが多い

「昨年3月頃から問い合わせが急増しました。北関東の事業者などから、近くの太陽光発電設備が被害にあったので、いますぐにでも防犯カメラを設置したいというご相談を数多くいただいております」と話すのは、IT監視システムを提供するCore-Business株式会社の鈴木康弘さん。太陽光パネルで給電する、電源・ネット環境・設置工事不要の監視カメラが人気を集めているという。

群馬県警察本部によると、県内の太陽光発電所で銅線のケーブルなどが盗まれる被害が、昨年1月から6月までに約360件と前年同期の6倍以上に及んでいる。被害額は約4億3000万円。昨年7月には、藤岡市の山あいにある大規模太陽光発電所で銅線ケーブル約1.4km、金額にして1760万円相当が盗まれた。その後の調べで、カンボジア国籍の男5人が逮捕・起訴されている。犯行グループは、7月24日の深夜に送電用の銅線を市販の工具で切断し、車の大きさに合わせて切りそろえ、現場から運び出していたという。

茨城や栃木など5県で
2億7000万円の被害

茨城県警察本部は昨年10月、カンボジア国籍の別の5人が、茨城や栃木など5県で未遂を含む計76件の犯行を繰り返したことを裏付けたと発表した。盗んだ銅線ケーブルの長さは約81kmに及び、被害総額は約2億7000万円にのぼっている。

5人はいずれも技能実習生として入国し、在留期間が満了したあとも、不法に残留していた。SNSを通じて仲間を集め、2022年10月ごろから、茨城や栃木、群馬、埼玉、千葉の5県の太陽光発電所で、銅線ケーブルを盗んだとされている。

茨城県は2020年から2022年の金属盗の年間認知件数が3年連続で全国ワースト1。全国各地で被害が相次ぐ要因のひとつとして、世界的な銅の価格上昇がある。夜間に人通りが少ない場所の中規模から大規模の発電設備を狙うケースが多く、警察では不法滞在している外国人グループが転売目的で犯行に及んでいるとみている。外国人の場合、グループが分裂しながら、新たな窃盗グループを形成しているケースがあり、この動きは拡大しているという。

太陽光発電協会が
異例の注意喚起

太陽光発電協会は、太陽光発電設備のケーブル盗難対応についての注意喚起をウェブサイトに掲載している。設備設計面では、右図のような配慮・対策を呼びかけている。

運営面での配慮・対策例としては、ケーブル盗難異常検知と緊急駆け付け対応、近隣の方々や発電所間の防犯協力、地域共生の推進による防犯体制の構築、警備会社などを活用した防犯対応強化、動産保険や休業損害保険などの加入による損害対策などの対応を要請している。ただ、防犯対策や対応が不十分な場合は保険が適用されない場合があるので注意が必要だ。

DATA

太陽光発電協会 太陽光発電設備のケーブル盗難対応について


取材・文/高橋健一

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