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積水化学工業がペロブスカイトを量産化! 2030年にはGW級の製造ライン構築を目指す

日本にとって、太陽光電池の地位復権に向けた切り札になると見られているペロブスカイト太陽電池。積水化学工業株式会社が量産化に向けて一歩を踏み出す。目指すは2030年のGW級製造ラインの構築だ。

メイン画像 出典:積水化学工業

<目次>
1. 2024年12月に量産化へ新会社設立
2. 2027年4月に100MW製造ライン稼働を目指す

 

2024年12月に
量産化へ新会社設立

2024年12月26日、ロール・ツー・ロール方式でのペロブスカイト太陽電池の製造技術を確立している積水化学工業株式会社が、ペロブスカイト太陽電池の量産化を表明した。年が明け、2025年1月6日には、実現に向けて新会社、積水ソーラーフィルム株式会社(資本金1億円)を設立した。なお、新会社の株主は積水化学86%・日本政策投資銀行14%となっている。

量産化の概要は以下のようになっている。
・ 大阪府堺市にあるシャープ株式会社の本社工場の建物や電源設備、冷却設備などを譲り受け、ペロブスカイト太陽電池製造設備を導入し、製造・販売を行う
・ 新たな事業開始にあたりペロブスカイト太陽電池の設計・製造・販売を行う事を目的とした新会社(積水ソーラーフィルム株式会社)を設立し事業運営を行う
・ 当初は軽量フレキシブルの特長を活かして耐荷重性の低い屋根、公共部門(災害時避難所となる体育館等)を中心に導入を進め、量産効果でコストを低減し、民間の工場・倉庫等の屋根・外壁面もターゲットに需要創出を行い、事業拡大を狙っていく。

 

 

2027年4月に
100MW製造ライン稼働を目指す

ペロブスカイト太陽電池開発のリーダー的存在とみられている積水化学は、2020年度の第3次補正予算において造成されたGI基金(グリーンイノベーション基金)を活用して軽量フレキシブルペロブスカイト太陽電池の開発・量産技術確立に取り組んできていた。変換効率は15%を達成し、耐久性能でも10年相当を実現。このように一定の技術確立に成功し、2025年の事業化は現有設備で実現する予定だったが、製造コストの低減やそれを可能とする生産能力拡大が課題となっていた。

課題克服の一手となったのが、『GXサプライチェーン構築支援事業』に採択されたこと。2050年のカーボンニュートラルに向け、GX分野の国内製造サプライチェーン構築を世界に先駆けて実現することを支援する事業に選ばれ、弾みを得た。補助金対象額は3145億円となっており、補助金総額は1572.5億円(補助率は1/2)である。

今後は、日本政府が目指す2030年までの早期のGW級の供給体制構築の中心的役割を果たすため積水化学は、2027年4月の100MW製造ライン稼働を目指して設備投資を行う。投資額は900億円とみられている。さらに、海外展開も視野に入れつつ、需要の獲得を進め、段階的に増強投資を行って2030年にはGW級の製造ライン構築を目指すという。


積水化学工業の描く売上計画。(出典:積水化学工業)


文:四谷陽晴

SOLAR JOURNAL vol.52(2025年冬号)より転載

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