政策・制度

経産省、新電力ビジネスの経過措置「部分供給」の見直し案 オフサイトPPAへの影響は?

電力小売の全面自由化から8年が経ち、新規参入した事業者への風向きが変わろうとしている。経済産業省資源エネルギー庁は、新規参入の事業者に対する経過措置としての「部分供給」の扱いを見直す案を示した。部分供給は、オフサイトPPAでも活用される電気の供給方法だ。

<目次>
1. 部分供給のあり方を再考 「通告型」がテーマに
2. オフサイトPPAでも活用 夜間や雨天の供給方法として
3. 新規受付の停止に賛否両論 PPA導入のハードルになる懸念も

 

部分供給のあり方を再考
「通告型」がテーマに

経済産業省・資源エネルギー庁は3月29日、電力・ガス基本政策小委員会の第72回会合で、新規参入の小売電気事業者に認められた電気の供給方法である「部分供給」のあり方を見直す案を示した。

部分供給とは、1つの需要地に対して、1つの引き込みによって複数の電力会社が電気を供給する方法。電力自由化の当初、新規参入の事業者は、大手電力会社と比べて調達できる電源が限られていたことなどから、十分な競争を実現するために配慮された経過措置だ。卸電力市場が活発化するまでの一時的な措置と位置付けられている。

委員会では、部分供給の3つのパターンのうち、新規参入の事業者が事前に供給する電気の量を通告する「通告型」にスポットが当てられた。通告型の部分供給では、新規参入の事業者が電気を送るタイミングや量を事前に通告し、それ以外の電気を大手電力会社が供給する。

この仕組みに基づいて、資源エネルギー庁は小委員会で、卸電力市場の単価が安いタイミングに新規参入した事業者が多く供給する事例が散見されたと指摘した。そのうえで、本来の部分供給の主旨と異なるとして、通告型部分供給の新規受付を停止する案を示した。

オフサイトPPAでも活用
夜間や雨天の供給方法として

その一方で、通告型部分供給は、太陽光発電などのオフサイトPPAでも活用されている。オフサイトPPAでは、需要地の外の発電所から送配電網を介して電気を調達する。現行の制度では、需要家が発電事業者から直接電気を調達することは難しいため、小売電気事業者を介する必要がある。また、夜間や雨天などには、太陽光発電からではなく、小売電気事業者から電気を調達しなければならない。

このように、オフサイトPPAの場合には、1つの需要地に対して、オフサイトPPAの電気を供給する事業者と、それ以外の電気を供給する事業者の2社と契約する場合がある。その際に、通告型部分供給の仕組みが利用される。

もちろん、オフサイトPPAの電気と夜間・雨天の電気を同一の事業者が供給することもできる。しかし、オフサイトPPAでは長期にわたって安価な電源を調達する必要があるため、調達能力の高い大規模な事業者に限られ、新規参入の事業者がオフサイトPPA事業に取り組みにくくなる可能性がある。

新規受付の停止に賛否両論
PPA導入のハードルになる懸念も

こうした観点から、出席した委員からは、「新規の(通告型)部分供給を停止することで、これからオフサイトPPAに取り組もうという需要家・小売事業者にとっての道を塞ぐことになるのではないか」といった懸念の声が上がった。

また、「そもそも部分供給は経過措置であり、その役割は終わった」として、新規受付の停止に賛成する意見が出た一方で、「需要家の声、事業者の声を幅広く聞いたうえで、現実的な再エネ導入方法を狭めていくことには非常に慎重であるべき」として、ヒアリングや検討を促す声も上がった。

資源エネルギー庁は、委員からの意見を踏まえ、本来の趣旨に反する事例に対処するとしながら、オフサイトPPAに取り組む事業者の実情については、改めて整理して小委員会で議論したいとしている。今後の議論では、部分供給の取り扱いが焦点となるが、電力小売の全面自由化から8年が経ち、新規参入した事業者への風向きが変わろうとしている。

DATA

経済産業省  総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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