政策・制度

経産省、GX推進で新たな国債発行 系統用蓄電池や次世代太陽電池に重点配分

経済産業省は今年2月、GX(グリーントランスフォーメーション)の推進のため新たな国債を発行した。2024年度予算案では、系統用蓄電池のさらなる導入・活用やペロブスカイト太陽電池の開発支援などに重点配分している。

<目次>
1. GX経済移行債 2月14日に初入札
2. GX経済移行対策費 31・3%増のの6429億円
3. GX経済移行対策費 31・3%増のの6429億円

 

GX経済移行債
2月14日に初入札

脱炭素社会への移行と産業競争力強化を両立させるため、政府はGXを推進している。官民合わせて150兆円以上の投資によって、再生可能エネルギーの導入を推進するほか、水素やアンモニアなどの次世代エネルギーの技術開発や関連産業を支援する。

民間の投資を呼び込むため、政府も総額20兆円を拠出する予定。その財源となるのがこの「GX経済移行債」と呼ばれる新たな国債だ。2月14日に10年債の初入札を実施し、発行予定額8000億円に対して約2.9倍となる2兆3212億円の応札があった。今後も10年間発行を続ける予定。GX経済移行債は、カーボンプライシングで得られる将来の財源を裏付けにしている。

GX経済移行対策費
31・3%増のの6429億円

GX経済移行対策費は、新たな国債である「GX経済移行債」を財源としている。経産省は2024年度予算案で、GX経済移行対策費に前年度当初費31・3%増の6429億円を計上した。2023年度補正予算の8547億円と合わせると1兆4976億円。

系統用蓄電池などの電力貯蔵システム導入支援事業(出典 経済産業省)

GX経済移行対策費のなかでは、再エネの導入拡大に向けた系統用蓄電池などの電力貯蔵システム導入支援事業として2024年度予算案に85億円を計上している。翌年度以降の予算化を保証する「国庫債務負担行為」を含めると、総額400億円におよぶ。全国各地で出力制御が頻発するなか、再エネ導入の加速化に向け、調整力として活用可能な系統用蓄電池や水電解装置などの電力貯蔵システムの導入に係る費用を補助する。

次世代型太陽電池などのサプライチェーン構築事業として548億円を計上した。この事業は、ビルの壁面などに設置可能な軽量で柔軟なペロブスカイト太陽電池の開発を支援する。

GX経済移行対策費
31・3%増のの6429億円

蓄電池の製造サプライチェーン強靭化支援事業(出典 経済産業省)

蓄電池の製造サプライチェーン強靭化支援事業には、2023年度補正予算と合わせて4958億円を盛り込んだ。政府は、2022年8月に策定した「蓄電池産業戦略」に基づき、遅くとも2030年までに、蓄電池・部素材の国内製造基盤を150GWh/年とする目標を掲げている。この事業では、蓄電池・部素材などの設備投資と技術開発を支援する。

次世代型太陽電池などのサプライチェーン構築事業として548億円を計上した。この事業は、ビルの壁面などに設置可能な軽量で柔軟なペロブスカイト太陽電池の開発を支援する。

洋上風力発電の導入促進に向けた採算性分析のための基礎調査事業には、 65 億円を計上している。この事業は、洋上風力発電事業の実施可能性が見込まれる海域を対象として、洋上風力発電事業の採算を分析するために必要な基礎調査を実施する。

DATA

令和6年度 経済産業省関連予算等の概要


取材・文/高橋健一

4月23日(火)に開催する「第29回PVビジネスセミナー」では、電力広域的運営推進機関 容量市場センターの横谷 亮氏が登壇し、長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望について講演します。


2024年、再エネの新規開発スキームは、固定価格買取制度に頼らないオフサイトPPAが主流になりつつあります。今回は2024年度の国の政策動向や、蓄電池を活用した新たなビジネスモデルを徹底解説します。また、今年1月にスタートした長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望、東京都が取り組む事業者向け再エネ導入事業を紹介します。

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