政策・マーケット

世界の入札、日本の入札。出力抑制がコスト低減を阻む

国際太陽エネルギー学会グローバル・リーダーシップ賞(2017年)を受賞した自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長。世界の再エネ情勢に詳しい大林氏は、日本の現状をどう捉えているのか? 再エネ100%の未来に向けて、向き合うべき課題を聞いた。【Part1】

再エネのコスト低下が
パリ協定採択を後押し

いま世界は、着実に「100%再生可能エネルギー」に向かっています。2015年12月、COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)でパリ協定が結ばれたことにより、その流れは決定的なものになりました。パリ協定は、史上初めて、すべての国が参加をして、脱炭素社会の実現に向けて行動することを約束した条約です。気候変動の国際交渉では、これまで、先進国と途上国の対立が、世界一丸となった温室効果ガスの削減努力を阻んできましたが、今回は、すべての国が参加する枠組ができました。

私は、パリ協定の採択を後押しした要因に、今まで先進国で拡大してきた自然エネルギーのコストが大きく下がり、多くの途上国にも大量導入できる体制が整ったことが上げられると考えています。実際、中国やインド、中南米諸国など、これまで途上国の意見をリードしてきた新興国を中心に自然エネルギーの大量導入が加速しています。中国が2017年に導入した太陽光は、54GWといわれています。日本全体の導入量を超える量を一年で導入しているのです。

こういった国は、新しい「自然エネルギー経済」を世界に展開し、経済発展を続けています。今現在も、自然エネルギーのコスト低下はさらに進んでいます。先日、IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が「再生可能エネルギーの発電コスト2017年」を公表しました。世界全体で、加重平均した自然エネルギーの発電コストは、2017年に運転を開始した水力発電では5セント/kWh、陸上風力では6セント/kWh、バイオマスと地熱では7セント/kWhでした。

コスト低下の勢いでは太陽光発電が群を抜いていて、2010年の36セント/kWhから2017年には10セント/kWhへ、なんと73%も減少しています。どの再エネも、化石燃料による火力発電(5〜17セント/kWh)に対し、既に十分なコスト競争力を持っているのです。さらに、このレポートには今後の見通しも示されており、2020年までに太陽光は6セント/kWh、陸上風力は5セント/kWh、洋上風力は6〜10セント/kWhになると予測されています。

世界の再エネ発電コスト(事業用の均等化発電コスト)

出典:IRENA Renewable Cost Database

(左から順に)バイオマス(緑)、地熱(オレンジ、水力(水色)、太陽光(黄色)、集光型太陽熱(ピンク)、洋上風力(薄いグレー)、陸上風力(濃いグレー)。

単位:米ドル/キロワット時(2016年)
注:円の直径は発電設備の規模(Capacity)を表し、円の中心の位置がコストを示している。
太線は各年に稼働した発電設備の全世界加重平均による均等化発電コスト。
資本コストはOECD(経済協力開発機構)加盟国と中国では7.5%、その他の国では10%を適用。
緑色の帯は化石燃料による火力発電コストの範囲を示している。

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