編集部からのお知らせ

ピークシフトで再エネを守れ! 電気の利用を促す「上げDR」って?

LooopとENECHANGEの協業による、家庭向けデマンドレスポンスの新しい試み、日本初の「上げDR」キャンペーンが始まる。再エネ発電量の多い時間帯に、積極的に電気を使うことで、"出力抑制"を回避することが可能になる!?

再エネ発電量に合わせて
電気の使い方を変える

新電力のLooopとエネルギーマネジメントのENECHANGEは3月19日、家庭向けデマンドレスポンス(DR)の新規キャンペーン『Looop DR~おひさま大作戦~』を実施することを発表した。

DRとは、電力の需給バランスをとるために、需要家(消費者)側の電力を制御すること。両社はこれまで、電力需要が高まる夏冬に”節電”を促すDRキャンペーンを行ってきたが、今回発表されたのは、これとは逆に“電気の積極的な利用”を促すDRキャンペーンだ。家庭向けのこうした取り組みは、日本初となる。

キャンペーン実施期間は、4月19日から5月19日の1ヶ月間。この時期は、冷暖房の必要がないことなどから、電力の消費量(需要)が発電量(供給)を下回ることが多い。つまり、電気が余ってしまうのだ。こうしたケースも、需給バランスが狂うことには違いなく、電気が足りない場合と同様に電力系統に支障をきたす。そのため発電量を減らすか、消費量を増やして、バランスをとる必要がある。太陽光発電の”出力抑制”が行われるのもこのためだ。

Looopの小嶋祐輔氏(戦略本部本部長・電力事業本部本部長)は、今回の取り組みの意義を次のように述べる。

「太陽光発電など再生可能エネルギーの発電量が伸びる春は、需要の多くの割合を再エネ電源で賄えているが、発電量が電力需要量を超えてしまうことにより、再エネの発電量を抑制する必要も出てくる。電力需要を引き上げることで、出力抑制を回避し、再エネをお得にご利用いただけるようにしていきたい」。


おひさま大作戦について熱く語るLooopの小嶋祐輔氏。

 

昼間の積極的な電気使用を
前日のメールで指令

節電により電力需要を下げるDRが「下げDR」と呼ばれるのに対し、電気を積極的に使って需要を引き上げるDRは「上げDR」と称される。

電気を使うといっても無節操に消費するということではなく、発電量の増える時間帯(昼間)に電気を使うということであり、その他の時間帯はその分電気を使わないということでもある。

つまり、「上げDR」とは、電気使用のピーク時間帯をずらすこと(ピークシフト)とイコールなのだ。例えば、夜間に洗濯機を回していた家庭なら、これを昼間に行うようにすれば「上げDR」になる。


出典:ENECHANGE

上げDRキャンペーン『Looop DR~おひさま大作戦~』では、電気を積極的に使うべき時間帯を「おひさまタイム」と命名。その具体的な時間帯は、電力の需給状況などをもとに、毎日変更される。需給バランスが適正な日には、「おひさまタイム」は発生しない。「おひさまタイム」がある場合は、前日にメール配信で参加者に通知される。


直前10日間(平日の場合。土日祝日の場合は6日間)の同時刻から算出された使用量(ベースライン)から、追加された使用量が「増加使用量」とされる。※上記おひさまタイムは目安。 出所:Looop

参加者のメリットとしては、上げDRの量(「おひさまタイム」に増加した電気使用量)に応じたインセンティブがある。増加使用量1kWhあたり5円をアマゾンギフト券で還元するというものだ。さらに、増加使用量を参加者同士で競わせ、上位者にはプレゼント(アマゾンギフト券5万円分など)も用意される。両社は、「キャンペーンをゲーム感覚で楽しんでもらうことで、DRという取り組みを広めていきたい」のだという。

DRの普及は、日本全体にとっても大きなメリットがある。ENECHANGEの城口洋平氏(代表取締役会長)は、「スマートメーターのある全世帯(約8000万世帯)がデマンドレスポンスに参加すると、原子力発電所3分の1基分の電力量および年間140億円の経済価値が生まれる」と話す。


デマンドレスポンスについて解説するENECHANGE代表取締役会長の城口洋平氏。

ENECHANGEとLooopの取り組みを通して、まずはDRの認知度がアップすることを期待したい。

<『Looop DR~おひさま大作戦~』の概要>
【対象者】
Looopでんき(おうちプラン、ビジネスプラン、動力プラン)のユーザーで、マイページで応募された方、先着1,000名(申込みは4月5日まで)
【エリア】
Looopでんきが提供する全エリア(エリアごとの系統状況によるため、エリアによっては発動しないことがある)※沖縄離島を除く
【報酬】
おひさまタイムの増加使用量×5円/kWhをアマゾンギフト券で還元(さらに上位者報酬として、1位:アマゾンギフト券5万円分、2位:同4万円分、3位:同3万円分、4位:同2万円分、5位:同1万円分)


出典:Looop


取材・文/廣町公則

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