編集部からのお知らせ

新設ラッシュのバイオマス 地産地消に適した電源は?

 

graph_p23

新設ラッシュのバイオマス
「地産地消」に適した電源

昨年、バイオマス発電は大規模な新規設備が相次いで設置されました。地元の木材チップを資源として使って、発電した電気を地元で消費するという「地産地消」モデルがバイオマス発電の理想ですが、なかには、海外から木材チップを輸入するケースもあります。

地産地消モデルを確立するためには、地元の自治体や農林業関係者、企業、住民が協力しあうことが有効ではないかと考えています。

たとえば、青森県平川市では、木材チップの供給から、発電、そして売電にいたるまでの一連の仕組みを、地元の人々が連携して構築しています。地元の農林業事業者や市民有志が出資して木材チップを供給する「津軽バイオマスチップ」を、地元企業のタケエイ、平川市らが出資して出力6250kWの木質バイオマス発電所「津軽バイオマスエナジー」を設立。発電した電気はタケエイの100%子会社「津軽あっぷるパワー」と東北電力に売電しており、このうちあっぷるパワーは地元の公共施設や事業者に電力を供給しています。これらの取り組みのなかで、新たに約100人もの雇用が生まれました。

バイオマス発電は、いくつかの小規模な発電所を地域に配置する「分散型電源」に適した電源です。これからは、地産地消型の分散型電源をどう広げるかが、いわゆる「ポストFIT」の論点になりそうです。

分散型電源への潮流は世界的なものであり、日本でも確実に広がるでしょう。分散型電源モデルをつくる自治体に対し、国が助成金などのインセンティブをつける形で導入が推進されると考えられます。


松本 真由美
東京大学 教養学部 客員准教授。
報道番組の取材活動やニュースキャスターを経て、現在は東京大学教養学部での教育活動を行う一方、講演や執筆など幅広く活動中。NPO法人・国際環境経済研究所(IEEI)理事。


取材・文/具志堅浩二

※『SOLAR JOURNAL』vol.18 より転載

< 12

関連記事

2016/01/15 | 編集部からのお知らせ

新設計画が相次ぐ 木質バイオマス発電所

2018/04/18 | 編集部からのお知らせ

FIT大幅見直しで、バイオマス発電はどうなる?

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 東京都の2024年度予算案 次世代太陽電池やアグリゲーションビジネスを支援...
  2. 【 参加受付中!】2024年4月23日(火)「第29回PVビジネスセミナー」~ 市場動向/PPA・蓄電池の最適化モデル ~...
  3. 新・出力制御対策パッケージ。「蓄電池の活用」を強化へ
  4. 太陽光発電所 銅線ケーブルの盗難被害が相次ぐ 銅の価格上昇が背景に
  5. 屋根設置は11.5円 前年度比0.5円引き下げ FIT・FIP買取価格が決定
  6. 2024年度の脱炭素ビジネス【発電側課金・脱炭素オークション・非化石価値取引】...
  7. グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール...
  8. 太陽光発電所の盗難被害が急増 外国人グループの犯行か
  9. 経産省、GX推進で新たな国債発行 系統用蓄電池や次世代太陽電池に重点配分...
  10. パワーエックス 2024年半ばから水冷蓄電池モジュールの量産化へ
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.48 | ¥0
2024/01/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ