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再エネ拡大にインパクトを与えるか、動き出した地域の金融機関

2021年の銀行法改正により、地方銀行が発電事業に参入する動きが増えている。発電事業の基礎となるファイナンス面をケアできるという点では、業界にとっては大きな革新であろう。金融機関の発電事業について、実例を交えながら解説する。

日本における再エネ拡大の
鍵となりえるもの

ウクライナへの侵略が長引き、インフレが戦争当事国以外にも暗い影を落としている。また、世界の脱炭素策は再エネ主導で変わらないが、一時的に石炭など化石燃料に頼るという矛盾の中にある。

2030年に46%の温暖化ガスの削減という野心的な目標を掲げる日本では、電気代の値上がりに加えて冬に向けての電力ひっ迫の恐れ、系統整備やEV普及の遅れなど、目標達成に向け明るい材料が見当たらない。

一方で、ローカルでの動きが日本の再エネ拡大に一筋の光明を照らすかもしれない。それは、再エネプロジェクトの大きなカギを握るファイナンスでの取り組みであり、地域の金融機関が主役であることがこれまでと違って新しい。

続出する、
地銀の発電事業参入

実例からお話ししよう。
今年の5月、鳥取県と島根県で事業を行う山陰合同銀行が、地方銀行として初めて発電事業への参入を発表した。子会社を作って、耕作放棄地などで行う太陽光発電所(計14MW)を運営管理し、鳥取県米子市と境港市の公共施設およそ600カ所に電気を送る計画である。2つの都市が進めるゼロカーボンシティ構想を、再エネ電力の供給で直接支援する。先日、発電と電力供給事業を行う子会社の「ごうぎんエナジー」が設立されたばかりである。

(ごうぎんエナジーの事業イメージ、出典:同プレスリリース)

目指すのは「地域脱炭素の達成」と明記され、同時に、地産再エネによる地域内経済循環拡大と地域課題の解決をうたっている。

同じ5月に、茨城県の常陽銀行が、「常陽グリーンエナジー」の設立を発表した。こちらは、バイオマスなど多種の再エネ発電を視野に入れる。さらに7月中旬には、長野県の八十二銀行も、同様の発電事業と地域商社機能を兼ね備えた「八十二 Link Nagano㈱」の設立を明らかにし、後に続いている。

何といっても強みは、一定の費用が掛かる発電事業の肝となるファイナンスを自らケアできる点である。地域内で発電事業を進めたくても融資が下りずに断念した多くのケースを知るだけに、地域の金融機関の直接関与のインパクトは大きい。

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