FIT新時代の“質”の高い事業とは!?
2017/02/06
2017年4月1日、いよいよ改正FIT法が施行される。太陽光発電の普及を強力に後押ししてきた固定価格買取制度が、抜本的に生まれ変わる。PV業界の環境変化は必至だ。こうした状況を受けて、ソーラージャーナルは2016年11月25日、第3回目となるPVビジネスセミナーを開催した。当日の様子をリポートする。
講師は、再生可能エネルギー業界をリードする官民のエキスパート6名。はじめに経済産業省 資源エネルギー庁新エネルギー課課長補佐の小山雅臣氏が、「再生可能エネルギーの導入促進に係る制度改革と太陽光発電の導入拡大に向けた施策の方向性」と題して、法改正の背景と狙いについてレクチャーした。
続いて登壇したHTソーラー株式会社 代表取締役の小山智弘氏は、新FIT時代を見据えたPVイノベーション事業を紹介。環境経営コンサルタントの村沢義久氏は、太陽光のさらなる導入拡大の鍵を握る蓄電池の最新事情について解説した。独自のWeb営業で注目を集める太陽光発電ムラ発起人の谷口洋和氏は、ネットとオフラインの融合手法を披露。さらに、ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社 プラント建設事業本部 プラント建設営業部シニアマネージャーの志波誠士氏が、いま求められる太陽光架台についてスピーチした。最後は、FITの制度設計にも携わった弁護士の市村拓斗氏が、法改正のポイントを実務に即して解き明かし、セミナーを締めくくった。
会場となった都内ホールには、EPC、メーカー、販売施工会社などから約150名が集結。FIT改革をビジネスチャンスに結び付ける、多くのヒントをつかんだ。
経済産業省 小山雅臣氏
FIT 見直しの目的は、「再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立」にあるとしたうえで、未稼働案件への対応が大きなポイントであることを詳述。「今後は認定取消が増えるだろうが、それは健全化のための痛みであり、太陽光発電にはまだまだ大きな伸びしろがある」とした。また、長期安定的な発電事業をサポートする体制を構築すべく、現在いくつかの県と協議を進めていることを明らかにした。
環境経営コンサルタント 村沢義久氏
国が定めたエネルギーミックスでは、2030年時点で太陽光は64GWとされるが、「最低でも100GWを目指すべきであり、それは十分に可能だ」と力説。太陽光の弱点を補うために蓄電池は必須だが、「スペースさえあれば鉛蓄電池でも良いし、電気自動車のバッテリーを使うことも有望である」など、導入拡大に向けた具体的方策を示した。併せて、バッテリー再生ビジネスが伸びてくるだろうと将来を展望した。
太陽光発電ムラ 谷口洋和氏
太陽光発電事業にもWeb 営業が有効であることを、豊富なデータをもとに解説。ブログ、SNS、メルマガなどを複合的に活用していくとともに、Web で得たつながりを実際の取引に結び付けていくための手法を紹介した。「Web でのアクセス数を餌に業務提携をすれば、より有利な事業展開を図ることもできる」として、アクセス数を増やすための秘訣も惜しみなく披露した。
弁護士 市村拓斗氏
資源エネルギー庁に出向しFITの詳細制度設計に携わってきた立場から、改正FIT法における実務上の留意点を指摘。新たな認定制度における事業計画の詳細についても解説した。さらに、新規導入される入札に関して、その対象が「2MW以上の太陽光」であり、入札方法は「pay as bid 方式(各事業者の入札価格を買取価格とする方式)」になるだろうことを明らかにした。
HTソーラー株式会社 小川智弘氏
太陽光自動追尾式ソーラーシステムや、新型ソーラーシェアリング用太陽光パネル、太陽光パネルとコンテナハウスを組み合わせた簡易宿泊所など、最新のイノベーション事業を紹介。とくに太陽自動追尾式ソーラーは、「独自の高効率システムにより発電量が平均1.4倍程度アップし、買取価格24円でも33円相当の売電収入が見込める」ことを示し、セミナー参加者の大きな関心を集めた。
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社 志波誠士氏
「太陽光発電設備は、平地の適地には既にあらかた設置されており、今後は山岳地への設置がポイントになる」。同社は、山岳向けの架台をとおして太陽光のさらなる普及をサポート。東西・南北傾斜に対応可能な自在コネクターや、軟弱地盤から岩盤まで様々な土質に対応できる工法の開発に努めてきた。土地の造成費用が抑えられるので、太陽光発電の低コスト化にも貢献し得るものだという。
SPONSORED COMPANY
5周年を迎えたHTソーラーは、「3つの力」(生産力・提案力・サポート力)をもとに世界で躍進中の企業だ。本社工場では現在1.5GWの製造能力を有し、一昨年10月からはベトナムでの製造も始まり600MWの製造能力を有している。充実したアフターサポートも魅力だ。
同社は「自然エネルギーを普及させ、永続できる社会の構築に貢献する」という志を胸に、自然エネルギーというフィールドで新しいスキームを生み出してきた。自社製架台「武蔵®」の開発・施工をはじめ、リユース事業やオフグリッド(独立蓄電型)事業、電力小売事業などを展開。
≫ 次回のセミナーは4月26日(水)に開催決定。申込み受付中!
※『SOLAR JOURNAL』vol.20 より転載