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自分の電気で自宅で過ごそう! 我が家で自家消費をするための準備は?

自宅で過ごす時間が増えている今だからこそ、我が家の電気のことを改めて考えてみてはいかがでしょう? 今回は自家消費を始めたいと思っている方に、どんな準備が必要なのかをご紹介!

いちから始める
自家消費ライフ

住宅用太陽光発電の自家消費には、何が必要になるのでしょうか。いちばん大事なのは、言うまでもなく太陽光発電設備です。具体的には、まず屋根の上で電気をつくる「太陽光パネル(太陽電池モジュール)」。そして、太陽光パネルでつくられた直流の電気を、家庭で使用できる交流の電気に変換する「パワーコンディショナー」。この2つが、最大の構成要素となります。

ただし、太陽光発電設備だけでは、発電した電気を昼間しか使うことができません。太陽光で発電できない夜間は、電力会社から電気を買って使うことになります。また、太陽光で発電した電気のうち使い切れなかった分は、電力会社に売電するしかありません。でも、前述のとおり、売電単価は電気料金より安いので、できれば売らずに使い切って、その分だけ電気代を削減したいところ。

そこで登場してくるのが、余った電気をためておける「蓄電池」です。蓄電池があれば、昼間発電した電気を、太陽が照っていない夜間に使うことも可能。雨が降って太陽が出ていない日でも、貯めておいて自前の電気を使い続けることができます。

では、自家消費には蓄電池が不可欠なのでしょうか? その答えはNOです。もちろん蓄電池があった方が自家消費の比率は高まりますが、昼間に電気を使うことの多いご家庭であれば、太陽光発電設備だけでもかなりの自家消費が可能。不要不急の外出を控え、昼間も自宅で過ごすことの多い緊急事態にあって、太陽光発電設備の存在意義は高まるばかりです。

蓄電池を活用した自家消費のイメージ


出典:太陽光発電協会

初期費用ゼロで
太陽光が設置できる

以前よりかなり安くなっているとはいえ、太陽光発電設備を導入するには、それなりにまとまったお金が必要です。「数年で元がとれると言われても、まとまったお金なんて今は出せない」という方も、たくさんいらっしゃるでしょう。こんなご時世ですから、あたり前です。

こうしたなか、「初期費用ゼロで太陽光発電設備を設置できる」というプランを打ち出す事業者が注目を集めています。そうした事業者は着実に増えているのですが、その仕組みは1つだけではありません。大きく分けて、「リース」「電力販売」「屋根借り」という3つのビジネスモデルがあります。共通しているのは、「事業者の費用で顧客の家に太陽光発電設備を設置し、設備の所有権はその事業者が有する」という点です。

それぞれのビジネスモデルをざっくりまとめると、リースにおいては「発電された電気は住宅所有者が利用し、顧客は発電設備のリース料を事業者に支払う」。電力販売モデルにおいては「発電された電気は事業者のものであり、住宅所有者はその電気を事業者から買う」。屋根借りとは事業者が顧客の屋根を借りて太陽光発電設備を設置するというモデルであり、「発電された電気は事業者が電力会社等に販売し、住宅所有者は屋根の賃料を事業者から受け取る」。なお、一定期間(10年間等)が過ぎたら、その太陽光発電設備は設置家庭に無償提供されるというケースが多いようです。 

初期費用ゼロのビジネスモデルは、「第三者所有モデル」「PPAモデル」などと呼ばれることもあるので、導入を検討している方はあわせてチェックしてみると良いでしょう。

太陽光が既にあるなら
そろそろ蓄電池を

既に太陽光発電設備を設置してるご家庭なら、そろそろ蓄電池を考えてみたいところ。とくにFITで買い取ってもらえる期間(10年間)が終わりに近づいているご家庭なら、蓄電池を導入しないともったいないことにもなりかねません。FIT期間が終わっても売電はできますが、FIT価格よりも圧倒的に安い値段になってしまうからです。

そうなると「売るよりも使った方がお得」の度合いが、いちだんと高まります。少しでも高く買ってくれる新たな売電先を探すとともに、やはり蓄電池の導入を検討してみるべきでしょう。蓄電池の最大のネックは、導入コストが高いことでしたが、近年はだいぶ値段も下がってきています。地域によっては高額な補助金を出してくれる自治体もあります。

家庭用蓄電池の価格低減目標


経済産業省が示している蓄電池の価格低減目標。実際の市場価格も、ほぼこれにそって着実に下がってきている。
出典:経済産業省

東京都は「初期費用ゼロ」事業を助成


東京都では「初期費用ゼロ」の太陽光発電設備設置事業に助成金を出して、この仕組みの普及を応援している。
出典:東京都地球温暖化防止活動推進センター

電気自動車は家庭用の
蓄電池としても優秀

クルマを買い替える計画があるのなら、電気自動車(EV)がおすすめです。EVに積まれたバッテリーは、住宅で使われる蓄電池と同様のリチウムイオンバッテリー。EVと家をつなぐV2H(Vehicle to Home)機器を設置すれば、EVのバッテリーを家庭用蓄電池としても併用することができます。しかも、電気自動車に搭載されているバッテリーは、一般的な家庭用蓄電池よりもはるかに大容量。一般的な家庭用蓄電池の容量が4~12kWh程度であるのに対し、日産のEV「リーフ」のバッテリー容量は40〜62kWhにも達しています。

ただ、EVを家庭用蓄電池として使う場合、太陽光で発電した電気を蓄電する時間帯(昼間)はあまり乗らないなど、ライフスタイルとの兼ね合いがポイントに。とはいえ、外出を自粛しなければならない状況が続くようなら、EVを家庭用蓄電池としても活用するという作戦はおおいにアリでしょう。

EVは走る蓄電池になる


太陽光パネルで発電した電気をEVに充電して、走行に使う。再び家に戻し、家の電気として活用することもできる。
出典:日産自動車

集合住宅でもできる
ベランダ発電自家消費

「太陽光発電をしたいけど、賃貸マンションだからムリ」と諦めている方もいるでしょう。でも、諦める必要なんてないんです。ベランダやバルコニーに太陽光パネルを設置するという手があります。スペースが限られるので、たくさんの電気をつくることはできませんが、だからこそむしろ気軽に自家消費システムを構築することが可能。

実際、小規模な発電システム用なら蓄電池も手頃な値段で手に入るので、全量使い切りの自家消費が容易なのです。はじめから売電をしない前提なら、難しい電気工事も必要ないので、設置も簡単。DIY感覚で、自分ひとりで施工することもできます。

自家消費型太陽光発電のカタチは、一様ではありません。それぞれのご家庭、それぞれの暮らしに合わせて、我が家のカタチを探してみてください。自宅で過ごす特別な時間、できるなら我が家でつくった我が家の電気で彩りたいですよね。みんなで手を握り、大声で笑い合えるその日まで、なにはともあれ自宅で元気に過ごしましょう!


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.33(2020年春号)より転載

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