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東京ガス、FIP/非FIT発電所の需給調整を代行。インバランスコスト負担も

東京ガスが、FIP/非FIT発電所向けに新サービスを開始した。発電事業者に求められる需給調整業務を代行し、インバランスコストも負担する。同サービスは、FIPだけでなく非FIT発電所でも利用できるという。

再エネ発電事業のリスクをヘッジ
最大20年間の長期契約も可能

東京ガスは4月18日、FIP制度を適用中の発電所などに向けた「再エネ需給調整サービス」を同日から開始したと発表した。同サービスでは、東京ガスが発電事業者に代わって(1)電気および非化石価値の買取、(2)再エネ発電予測・発電計画の作成・提出、(3)インバランス費用の負担ーーを行う。

(再エネ需給調整サービスの概要。出典:東京ガス株式会社)

同サービスでは、東京ガスが電気と非化石価値を買い取る代わりに、発電計画の提出やインバランスコストを負担する。対象となるのは全国のFIP・非FITの再生可能エネルギー発電所だ。サービスの提供期間は最大で20年間とされている。

こうしたサービスの対価として、発電事業者はバランシングフィーを支払う。東京ガスによると、電気と非化石価値の買取単価およびバランシングフィーは、案件ごとに協議のうえ決定するという。

同社は、FIP制度において新たに課される需給調整業務やインバランスコストが発電事業者にとっての主要な課題であるとし、同サービスの提供によってこうした負担を軽減するとしている。

FIP発電所を支援する新サービス
うまく活用し発電収益の最大化を

この4月から始まったFIP制度では、発電事業者に対して需給調整業務が義務付けられる。こうした義務は、FIT制度下では「インバランス特例」として免除されていたものだ。従って、非FITや卒FIT発電所においても同様の義務が課されることになる。

需給調整業務とは、発電量の計画値と実績値を30分単位で一致させていくための業務だ。あらかじめ作成した発電計画を、電力広域的運営推進機関(OCCTO)に提出する必要がある。また、計画値と実績値が乖離した場合には、一般送配電事業者との間でインバランス料金の精算を行わなければならない。

このインバランス料金は、日本卸電力取引所(JEPX)の市場価格と連動しているため、市場価格が低いときにはインバランスコストが抑えられるが、市場価格が高騰するとインバランスコストも増大することになる。

こうしたインバランスコストや需給調整業務は発電事業者にとってのハードルになると予想されるが、東京ガスのほかにLooopもFIP制度の収支予見性を高める新サービスを打ち出しており、発電事業者の選択肢が増えつつある。(参考『Looop、FIP制度適用でも「固定価格」で買い取る新サービス。収支予見性を向上へ』)

DATA

東京ガス株式会社 : 非FIT/FIP向け再エネ需給調整サービスの開始について


文:山下幸恵(office SOTO)

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