屋根上太陽光発電はブルーオーシャン!? 導入済みの工場は少ない
2019/01/09
工場などの電気使用量が多い施設では、屋根上太陽光発電システムを導入すれば、電気代を大きく削減できるケースがある。しかし、実際に活用している企業はまだ少ない。その理由とは?
前記事:太陽光発電は全量買取から”余剰買取”へ! 工場はさらにメリット大
ピークカット効果で
電力基本料金も削減
一般に、工場などを対象とした電力会社の電気料金プランは、電気使用量の最大値(ピーク電力)を基準にして基本料金が設定されている。このピーク時の購入電力を、太陽光発電の自家消費によって減らしていけば、電気料金のベースとなる基本料金を引き下げることもできるのだ。太陽光パネルが発電する昼間に電力消費のピークがくる工場なら、この効果は一層大きい。
さらに、太陽光発電設備とともに蓄電池を導入すれば、昼に発電した電気を夜間に使うこともできる。工場の運転状況に合わせて、最適なエネルギーマネジメントを行うことが可能となる。将来的には、ぜひ蓄電池も欲しいところだ(ただし、工場での使用に耐えるような大型の蓄電池は、まだ高額であり、採算がとれるケースは限られる。FITの余剰買取があるうちは、慌てる必要もないだろう。蓄電池のコスト動向を見ながら、導入を検討していけば良い)。
太陽光導入には意欲的だが
実践している企業は少ない
工場オーナーたちは太陽光発電について、どう考えているのだろう? 5月下旬、ソーラーフロンティアがインターネット調査を実施した。
「会社の施設(工場・ビル・倉庫などの建物)に太陽光の導入を検討すべき」と考えている人は71.3%。一方で、59.3%の人が「初期投資が大きそう」との懸念材料を挙げた。既に太陽光発電などの再エネを導入している企業は16.5%だった。
また、「光熱費を削減するための手段として自家消費型太陽光発電システムを導入する意義を感じるか」との問いには、17.1%が「とてもそう思う」、42.2%が「そう思う」と答えている。
Q1. 会社保有の施設(工場・ビル・倉庫などの建物)における太陽光の活用について、導入を検討すべきだと思いますか?
Q2. 会社保有の施設(工場・ビル・倉庫などの建物)に太陽光発電システムを導入する場合、一番の障害は何だと想像できますか。
出典:ソーラーフロンティア株式会社
※調査対象:自社施設(工場・ビル・倉庫などの建物)を保有する企業の経営者・管理職334人、事業所在地:1都6県
上のアンケート結果を見ると、工場オーナーらの太陽光発電への関心は決して小さくない。光熱費削減への意識も高いようだ。しかし同時に、導入コストに対する不安がまだまだ大きく、設置が進んでいないことも示されている。太陽光発電設備導入によるメリットが、十分に理解されているとはいえないようだ。
このことは、導入メリットをしっかりとアピールできれば、工場屋根への普及がいっきに進む可能性のあることを意味する。多くの工場屋根が、未だ手付かずのままだ。そこには、太陽光発電のブルーオーシャンが広がっている。
取材・文/廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.27(2018年秋号)より転載