NTTグループ、日産とEVを活用したV2B実証の結果を発表
2019/11/25
NTT西日本、NTTスマイルエナジー、日産自動車の3社が発表した「EVを活用したV2Bによるエネルギーコスト削減トライアル」の結果。EVの普及や充電の高速化によってニーズの高まりが予想されるEVの蓄電池機能だが、その最新状況とは?
ピーク時のkWh予測
14%のピークカットに成功
9月26日、NTT西日本、NTTスマイルエナジー、日産自動車の3社は、カーポート型太陽光発電システムや電気自動車、蓄電池を活用した遠隔充放電制御によるエネルギー最適化の検証結果を発表した。
今回発表された実証実験は、2018年12月に開始された「電気自動車(EV)を活用したV2Bによるオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアル」。V2Bとは、”vehicle to building”の略で、EVを蓄電池のように使い、EVとビルとの間で電力を相互供給する技術を指す。
実証の対象は夏季のピークカットで、NTT西日本 山口支店において日産リーフ3台、カーポート型太陽光発電システム16.5kWを用いて行われた。遠隔クラウド制御によるV2Bを活用した最適なデマンド制御や、BCP対策を踏まえたエネルギーコスト削減などのソリューション、再生可能エネルギーやEVを組み合わせたデマンドリスポンス等のエネルギーサービスについても検証した。
その結果、ピーク時間帯の消費電力量は90%以上の精度で予測が可能となり、効果的なピークカットの実現に成功した。デマンドが最も高い時間帯である13:00から13:30の間でピークカットした電力量は、自家消費により6.6kWh、EV3台からの放電により7.5kWh、トータルで14.1kWhとなった。ピークカット率は14%だった。
冬季も実証続け高度化目指す
EV100達成の牽引役に
今後は、夏季ピークカット実証での課題に対応するより高度なクラウド機能を開発したうえで、冬季ピークカット実証を実施する予定だ。冬季ピークカット実証では、放電スケジューリングの自動化やEV本格普及、充電器の高速化を見据え、EVが集中充電した際の新たなピーク回避の有効性などを検証する。
また、需給調整市場へのリソースを提供するため、EVの残容量を予測する技術についても併せて検討する。
NTTグループは、2018年10月にNPO法人The Climate Groupが運営する国際イニシアチブ「EP100」と「EV100」に加盟している。「EP100」とは事業のエネルギー効率を倍増させることを目標とし、「EV100」とは電気自動車の使用や環境整備促進を目指すイニシアチブだ。ともにRE100と並ぶ国際イニシアチブだが、NTTグループの加盟は電気通信事業者として世界初、また「EP100」と「EV100」同時加盟したことも世界初の取組として注目されている。
DATA
西日本電信電話株式会社
株式会社NTTスマイルエナジー
日産自動車株式会社
文/山下幸恵