防草シートの有効性を知る! 軽視できない太陽光発電所の“雑草問題”③
2020/04/15
太陽光発電所の雑草問題を解決する手段として、防草シートへの関心が高まっているという。防草シートの魅力はどこにあるのか? 国内随一の雑草問題シンクタンク「緑地雑草科学研究所」の雑草インストラクター・鎌田弘章氏に聞いた。
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防草シートは雑草対策の切り札
いま、なぜ「防草シート」への関心が高まっているのでしょう?
草刈りや除草剤による雑草対策に限界を感じて、防草シートの検討を始めたという方が多いようです。草刈りも除草剤も身近な雑草対策ですが、これまでお話ししてきたように、そこには様々な課題があります。
いずれも効果は長持ちしませんし、とくに草刈りの場合、年2回程度ではかえって雑草を強く育ててしまいます。草刈りをしているのに、年々、雑草がひどくなるという声もよく聞かれるところです。除草剤については、周辺環境に及ぼす影響が問題となり、使える場所も限れてきています。
その点、防草シートは、一度敷いてしまえば長期にわたって効果が持続します。草刈りや除草剤のような「雑草除去」ではなく、雑草の生育自体を抑える「雑草防除」に優れた手法であり、導入コストはかかるものの、通年で雑草のない敷地環境を維持することができます。また、周辺環境に悪影響を及ぼすこともありません。新設・既設を問わず、パネル下だけ・法面だけなど場面に応じて敷設でき、重機も使用しないためスピーディに導入できるのも魅力です。
防草シートを敷いていれば安心なのでしょうか?
もちろん、防草シートなら何でも良いというわけではありません。製品の「選び方」、シートの「敷き方」、「手入れの仕方」によって、その効果には雲泥の差が生じてしまうのです。信頼できる製品を選び、正しい敷き方で丁寧に施工し、メンテナンスにも気を配ることで、はじめて高い防草効果が発揮されるといえるでしょう。
防草シートの種類
防草シート選びのポイントを教えてください。
一口に防草シートといっても様々な種類があります。適正な製品を選ぶためには、まず防草シートの「原材料」と「構造」、「物性」について把握しておきたいところです。
原材料には、融点が低く成型加工性に優れる「ポリエチレン」、軽量で強度に優れる「ポリプロピレン」、耐候性に優れる「ポリエステル」、生物資源由来で生分解性をもつ「ポリ乳酸」があります。いずれもフィルムや繊維状に加工して使用します。
シートの構造は、「織布」と「不織布」に分けられ、それぞれ下表に記した特徴をもっています。また、「単層」のものと「二層構造」のものがあります。例えば、白崎コーポレーションの防草シート「ウィードシールド」は、強壮雑草を完全抑止するポリエステルの高密度不織布を裏面に、劣化原因の紫外線を抑制するポリエステル柔不織布を表面に採用した二重構造となっており、耐用年数10年を超える優れた防草効果が実証されています。
防草シートの「物性」で留意すべきは?
防草シートの物性においてチェックすべきは、「引張強度」「遮光率」「透水係数」「貫通抵抗力」などです。
引張強度とは、防草シートを面に沿って引っ張った際の強度を示す数値で、シートの強度を示す項目の1つ。特に法面での敷設時にシートに乗った際の破れにくさに影響します。この値が低いシートは敷設時の損傷が多くなる傾向がありますが、経験則上、200N/5cm以上の値があれば破損のリスクは小さいものと考えられます。
遮光率は、照射される光のうち何%を遮断することができるかの値で、防草シートの性能に大きく関わります。防草シートは、光を遮ることでシート下の雑草の光合成を抑え、繁茂を防止するものだからです。
透水係数は、防草シートの水の通りやすさを示す数値。平地の場合は下地の状態にも依りますが、降雨後の水たまりのできやすさ、法面の場合はシート外部への流水量に影響します。
貫通抵抗力とは、雑草の突き抜けに対する防草シートの抵抗力を示すものです。雑草の出芽力は最大で1kgf程度ですから、最低でもこれに耐え得る抵抗力が求められます。先端が尖った草種(チガヤ・笹など)の場合はとくに突き抜けやすいので、どんな雑草が生えるのかを見極めたうえで、材質や構造も考えあわせた最適なシートを選ぶことが肝要です。
次回は、引き続き鎌田氏より「防草シートの敷き方」やメンテナンスについてお聞きする。
Profile
緑地雑草科学研究所 雑草インストラクター
白崎コーポレーション 太陽光O&M特販営業部
鎌田弘章氏
取材・文/廣町公則
写真・表/白崎コーポレーション