美作市「太陽光パネル税」が市議会で可決。総務大臣の同意を得れば施行に
2022/01/05
美作市が「事業用発電パネル税条例」を市議会で可決した。10kW以上の事業用太陽光発電設備に対し、パネルの設置面積1平方メートルあたり50円を課税するものだ。条例の施行には総務大臣の同意がいるため、今後の協議が注目される。
全国初の「パネル税条例」が可決
総務大臣による判断の是非が焦点
岡山県美作市議会は12月21日、全国初となる「事業用発電パネル税」の条例案を可決した。美作市内に設置された事業用太陽光パネルの設置面積1平方メートルあたり50円を課税するものだ。2年以上の継続審査を経て、同市議会の令和3年第7回定例会において賛成多数で可決された。
課税対象は認定容量が10kW以上の事業用太陽光発電設備だ。屋根上に設置するものや10kW未満のもの、50kW未満で事業区域内に砂防指定地や地すべり防止区域などを含まないものは対象外となる。課税期間は5年間だ。
事業用発電パネル税は「法定外目的税」としての導入が予定されている。法定外目的税とは、地方自治体が条例で新設できる税だ。ただし、条例の施行には総務大臣の同意が必要とされており、今後は総務大臣との協議の行方に注目が集まる。
1kWhあたり0.3円との試算も
買取価格下がればさらに負担増に
以前から事業用発電パネル税の導入に反対していたJPEAは、条例案の可決に対し、反対の再声明を美作市議会に提出した。JPEAによると、太陽光パネルの設置面積1平方メートルあたり50円という課税は、1kWhの売電収入に対し0.3円の追加負担になるという。買取価格が下がれば事業者の課税負担も大きくなるとしている。
美作市は、太陽光発電設備の立地開発が新たな災害発生や鳥獣被害、事業終了後の土地の荒廃などにつながるとの懸念から、事業用発電パネル税を発案した。事業用発電パネル税による税収は、防災や生活環境、自然環境対策のための施策費用に充てるという。
事業用発電パネル税が美作市で導入されれば全国初のケースとなり、先行事例ができると他自治体への波及も予想される。今後の総務大臣との協議では、政府が掲げる脱炭素化との整合性をどのように考えるかについても注目される。
DATA
美作市「事業用発電パネル税条例を公布しました」
JPEA「美作市による太陽光発電への法定外目的税導入について」
文:山下幸恵(office SOTO)