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【実証実験②】浮体式ペロブスカイト太陽電池の可能性は? 国内初となる実証実験をプールで開始!

多くの利点を持つと言われているペロブスカイト太陽電池。軽量という特徴を活かせる「浮体式」の可能性を探るべく国内初となる実証実験がスタートした。概要をリポートする。

閉校した学校のプールに
浮体式設備を設置して実験

2050年の脱炭素社会実現に向けた大きな役割を担うと熱視線を浴びているフィルム型ペロブスカイト太陽電池。軽量で柔軟という特長を持つため、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しかった場所への設置が可能となるからだ。実用化が進めば、再生エネルギーの発電量増大の起爆剤になり得る。

各地で実証実験が始まる中、2024年4月3日より、東京都北区の閉校となった学校プールでは浮体式ペロブスカイト太陽電池を設置した浮体構成、施工性、発電性能の実証実験が開始されている。先述したように従来の水上設置の浮体式太陽光発電システムでは、太陽電池および架台の重量を支持する浮体構成や施工性等に課題があった。一方、ペロブスカイト太陽電池は軽量。その特性を活かした浮体構成や施工性の検証が紹介している実証実験の目的だ。なお、浮体式ペロブスカイト太陽電池の実証実験は国内初の事例である。

浮体式ペロブスカイト太陽電池(東京都北区に設置)

開発担当の積水化学は
製造技術の発展を目指す

浮体式ペロブスカイトの共同実験を推進したのは積水化学とエム・エム ブリッジ、そして恒栄電設。開発を担った積水化学は独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活用し、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認している。30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築しただけでなく、同製造プロセスによる発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功。さらなる耐久性や発電効率の向上、1m幅の製造技術の確立に向けて尽力している。

エム・エム ブリッジ(前身は三菱重工業株式会社)は浮体の構造設計や係留方法などのノウハウを活かすことで、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を水上及び洋上に導入できると実験に参画。恒栄電設は、東京都北区が宣言している2050年CO2排出量実質ゼロを目指す企業の一つであり、「地産地活」をテーマにCO2削減を達成する構想を掲げている。

3社は、本実証により水上アセットへの再エネ導入手法を確立し、さまざまな水上を活用した脱炭素化社会への貢献を目指している。

DATA

浮体式ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始


取材・文/四谷陽晴

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