世界の気候テックが一堂に会する! 米国「VERGE23」帰国報告
2024/03/05
米国で毎年秋に開催されるカンファレンス「VERGE」には、世界の気候テックが結集する。気候変動をビジネスで解決しようと志す気候テックの熱気あふれる模様を、本誌が現地取材した!
メイン画像:金融セクターや投資家も多く参加し、ビジネスにおける人脈づくりの場としても活用されている。
再エネや蓄電池、EVなど最先端のビジネスを展開する気候テックが集まるカンファレンス。気候変動の専門メディアGreenBizグループによって、カリフォルニア州サンノゼで毎年10月に開催されている。
加速する気候テックの進化
AIとエネルギーの融合
「VERGEへようこそ! 新たな仲間が増え、気候変動の解決を目指すビジネスはスケールアップしている。若い力でイノベーションをともに進めましょう」と、グリーンビズ・グループのCEOエリック・ファロウ氏がオープニングスピーチを締めくくると、会場には拍手が巻き起こった。
会場であるサンノゼ・マッケンリー・コンベンションセンターの入り口には、トラックにつなげてどこへでも移動できるノマド・パワーのコンテナ式蓄電池が展示されている。担当者に聞くと、デモ機ではなく、会場に電源を供給している実機だという。その隣には、ヒマワリのように開いたり閉じたりするスマートフラワーの追尾式太陽光発電設備が並ぶ。
中に入ると、各国から集ったビジネスパーソンたちが会話に花を咲かせていた。約100社の出展企業の中で、ネクステラ・エナジーのブースが最も目立っている。太陽光や風力など67GWの再エネ設備を開発し、近年はグリーン水素やEVインフラの拡充にも力を入れる。
筆者がVERGEを訪れた理由の1つが、米国の電力公社にインタビューすることだった。地元の公営電力サンノゼ・クリーンエナジー(SJCE)は、再エネの開発や電気の供給、省エネやデマンドレスポンスなどのエネルギーサービスを展開している。35万軒の顧客を抱え、事業収益を地域の新たな再エネ開発に投資することで、安価な再エネ電気を供給している。担当者によると、住宅の太陽光発電をより有効活用するために「蓄電池やヒートポンプ式給湯器など、オール電化住宅のエネルギーリソースを制御するサービスも検討している」という。SJCEのように、再エネ電気を効率的に使うためのサービスに重点を置く出展企業が多く、AIや機械学習を活用したソリューションが既に主流になっていると感じた。
再エネ開発で急成長のネクステラ・エナジー
街中では同社のデジタルサイネージを搭載したプリウスが走り回っていた。日本でも投資先として人気が高い。
公営電力サンノゼ・クリーンエナジー
住宅向けに再エネ60%、100%などの電気料金プランを提供している。
スマートフラワーの可動式太陽光発電
デザイン性にこだわった斬新な製品。夜間は折りたたむことが可能だ。
ノマド・パワーの移動型蓄電池
可搬型で初期コストを削減。ピークカットや非常用電源としても役立つ。
取材・文:山下幸恵(office SOTO)
SOLAR JOURNAL vol.48(2024年冬号)より転載