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太陽光発電はこれからが本番 目指せ発電比率30 %!

7月3日、太陽光発電協会が2050年に向けて今後の太陽光発電の「JPEA PV OUTLOOK」を発表した。このビジョンで示された、「2050年までに累計200GW」という項目について、村沢義久氏は「もっと上を狙うべきだ」と語る。では、日本のPV業界が目指すべき、2050年の姿とは?

2050年の再エネ比率は
70%を目標に!

太陽光発電協会が7月3日に公開した「JPEA PV OUTLOOK」では、2050年までに累計200GW(2億kW)の太陽光発電を導入するビジョンが示されている。野心的な目標だが、私はもっと上を狙うべきだと思っている。

200GWの太陽光発電を導入すると、日照時間を1000時間として年間の発電量は2000億kWhとなる。現在の総電力需要(約1兆kWh)の20%を賄う計算だ。

しかし、これでは不足だ。ドイツは、太陽光発電を含む再生可能エネルギーの比率を、2050年までに80%と設定している。そこで私は、2050年までに累計300GWにまで上げるべきだと考えている。これで総需要に占める比率は30%になる。後は風力、小水力、バイオなど他の再エネで30%、さらに水力10%を加えて合計70%。これで、かなりドイツに近づける。

仮に2030年の累計導入量を100GWとすると、2050年に300GWを達成するためには、その後の20年間に毎年10GWずつ新規導入し続けなければならないことになる。2015年のピーク時でも年間10GWに少し届かなかったぐらいなので、実現は容易なことではないが、全力で取り組むしかない。

まず必要なことは土地の確保。狭い日本だが、太陽光発電用の土地は十分にある。全国に点在する耕作放棄地だけで40万ヘクタール(滋賀県の面積とほぼ同等)に上る。1ヘクタール当たり600kWの設置が可能とすると、40万ヘクタールなら2.4億kW(240GW)分。さらに、ソーラーシェアリングで現役の農地も活用する。

次は経済性。買取価格は、2012年度のkWh当たり40 円から2017年度には21円と半分近くまで下がった。しかし、その間に、パネルもパワコンも3分の1以下に下がっている。アメリカでは10円以下がザラ。ドバイでは4円弱というケースが出てきた。日本でもまだまだ行ける。

最後にして最大の難関が電力会社との連系。さらに、これからは出力抑制も心配だ。ならば、連系せず電力の自産自消を目指そう。そのためには、蓄電池との併用が必要になってくる。

テスラの蓄電池に期待!

昨年末、アメリカの電気自動車メーカーであるテスラ・モーターズが、太陽光発電設置事業者であるソーラーシティを買収した。いずれもイーロン・マスク氏が創設に関わった会社だ。

テスラは2種類の蓄電池システムを販売している。小型の「パワーウォール」は2015年に発売されたが、2016年10月には第2世代の「パワーウォール2」が発売された。ソーラーシティの太陽光発電がテスラの蓄電池と組み合わされることで大きな威力を発揮する。容量14kWhで、日本の標準世帯の1.5日分の消費量に相当する。価格は1基61万7000円から。

2つ目は、メガソーラーなどに提供される大型の「パワーパック」で、同じく昨年第2世代が発売された。複数連結することで200kWhから数百MWhの規模にまで拡張可能。

テスラに期待する理由はその低価格。「パワーウォール2」の場合、日本製の同等製品の数分の1。状況によってはすでに使えるレベルだが、もう一息下がれば本格普及が始まると思われる。

村沢義久


環境経営コンサルタント (合同会社 Xパワー代表)

東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。

Twitter アカウント: @murasawa

 

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