“地域密着型”新電力の強さとは? 福岡県「やめエネルギー」の事例
2019/02/04
地域中心のサービスと
広報戦略
やめエネルギーはおととし2017年の1月に設立された。その5月には市長も招いて大々的に事業開始の記念式典を開き、地元のマスコミにも大きく取り上げられた。73社の資本参加も功を奏し、認知度は飛躍的に上がった。
地域新電力にとって知名度は重要である。マスコミに取り上げられることが信用につながるのは、都会の比ではない。地域メディアへの露出方法をじっくり練り、これまでかなりの成果をあげている。「事業開始記念式典」に続いて、設立1周年では「やめエネルギー社長インタビュー」、「子育て応援料金プラン」と地域の最大紙の紙面を飾っている。
子育て応援プランは、地域の0歳から3歳までの子供がいる家庭への割引料金プランである。申し込みから3年間有効で対象の数を限定するなどの制約は作らない。他の地域で○○件限定などのプランはあるが、議論の末、公平感を大事にして年齢の条件が合えば、すべての家庭を対象とすることとした。
八女市内では2,000件がマッチする。事業性との絡みで決定までにはじっくり時間をかけた。反響は大きかった。保育施設から、「通ってきているお母さんたちに勧めたい」という嬉しいサプライズまで聞かれた。
市も取り組みを歓迎しているようで、やめエネルギーでは、保育所や幼稚園などの教育施設に対する新たなサービスの検討を始めている。地域の重要テーマである教育をサービスの柱のひとつにする考えである。
プロフィール
エネルギージャーナリスト
日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表
北村和也
エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ