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原発が全停止目前!? 電力会社は再エネ発電に移行となるか(前編)

九州電力の川内原発1号機(鹿児島薩摩川内市)が2020年3月に運転を停止することになった。理由は「テロ対策」の不備。日本の原子力発電所はどうなっていくのだろうか。環境経営コンサルタントの村沢義久氏による連載コラム第8回(前編)。

» 前回(第7回)の記事はコチラ

 

テロ対策不備の原発は停止へ!

原子力規制委員会による新基準(テロ対策を含む)が施行されたのは2013年7月。当初の設置期限は2018年7月だったのだが、規制委員会は一度先延ばししている。新しく設定された期限は原発によって異なり、最初に期限を迎えるが川内1号機の2020年3月17日。しかし、工事が間に合わないため、「テロ対策不備による停止」第1号となる。

工事が間に合わないのは他の原発も同じ。そのため、九州電力など各電力会社は、「再度の延期」を要請したのだが、規制委員会の答は「NO」。「これ以上の馴れ合いはしない」という宣言だろう。川内1号機の次には、同じ敷地内にある川内2号機が2ヶ月後の5月に停止する。



福島事故のあと、現在までに再稼働した原発は、関西電力(大飯3、4号、高浜3、4号)、四国電力(伊方3号)、九州電力(川内1、2号、玄海3、4号)の5原発、9基だが、その全てでテロ対策の工事が間に合わないことが分かっている。つまり、現在までに再稼働している9基の原発全てが順次停止し、日本は再び稼働原発ゼロの時代になるのだ。

筆者が心配していることの一つは、停止間際になって、政治的な圧力により停止が延期されること。圧力が来るとすれば、映画「新聞記者」にも出てきた「あの組織」なのだろうか。

圧力などあってはならないし、あって欲しくない。テロなどの脅威は現実のものであり、テロリストが待ってくれるわけではないからだ。実際、テロではないが、この原稿を書いている時(7月25日早朝)に、北朝鮮から「飛翔体」が発射された。続報では、日本にも届く新型ミサイルであることが分かったという。

現在のテロ対策は
完成しても不十分

政府からの圧力以外にもう一つ心配なことがある。それは、テロ対策施設が完成すれば、いったん停止した原発も運転を再開できるということ。もちろん、その対策が万全のものであれば良いのだが、現在のような甘い対策では実施されたとしても全く不十分なことは明白だ。

規制委員会が2013年に義務付けたのは、原発が航空機テロなどよる攻撃を受けた場合、遠隔操作で原子炉冷却の維持が可能となる施設の設置だけ。具体的には、原子炉建屋から100m以上離れた場所に制御室や発電機、原子炉冷却用ポンプなどを備える、という程度のもの。



しかし、実際に空中テロやミサイルによる攻撃を受けた場合には100m程度では巻き添えを食って破壊される可能性がある。なによりも、空中テロそのものを防ぐ装備(レーダーなどの監視装置や対空ミサイルシステム)などは全くない。

 

プロフィール

環境経営コンサルタント(合同会社 Xパワー代表)

村沢義久


東京大学工学修士。スタンフォード大学MBA。経営コンサルティング会社日本代表、ゴールドマンサックス証券バイスプレジデント(M&A担当)などを歴任の後、2005年から2010年まで東京大学特任教授。2010年から2013年3月まで同大学総長室アドバイザー。2013年4月から2016年3月まで立命館大学大学院客員教授。現在の活動の中心は太陽光発電と電気自動車の推進。Twitterは@murasawa。

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