【インタビュー】モジュールメーカーに訊く! 2019年の戦略は?
2019/07/31
JAソーラーは
変換効率に優れたモジュールで
太陽光発電の発展に貢献!
世界は、化石燃料から再生可能エネルギーに大きく舵を切りました。それは日本も同様です。日本は資源の少ない国ですから、中長期的に見ても太陽光発電市場は拡大していくでしょう。
一方で、現在FIT価格の下落が続き、より高い事業性が求められています。モジュールの性能や信頼性がこれまで以上に重要になってきたといえるでしょう。私たちJAソーラーが果たすべき役割も、ますます大きくなったと感じているところです。弊社は、2012年に日本市場に本格参入して以来、日本向けに約3.6GWのモジュールを出荷してきました。この数字は、弊社製品の安定したパフォーマンスが高く評価された結果だと自負しています。
JAソーラーは、フルセル、ハーフセル、両面発電など、変換効率に優れた高出力モジュールを幅広くラインナップしています。設置スペースが限られた場所でも、高いパフォーマンスを発揮することのできる最適なシステムの構築が可能です。
弊社では、セルの製造からモジュールの組み立てに至るまで、徹底した品質管理のもとで自社生産を行っています。また、温度サイクル試験やUV試験などの信頼性テストを、IEC規格の3倍の厳しさで実施し、世界最高水準の品質を保っています。
私たちはこれからも、高品質なモジュールの安定した供給を通して、日本の太陽光発電の発展に貢献し続けたいと考えています。
プロフィール
JAソーラー株式会社
総経理 東アジア太平洋区責任者
施 俊氏
LS産電は
日本のシェア拡大を目指す
LGグループ傘下であるLSグループの電力/自動化の主力会社であるLS産電は、電力機器/電力システム、インバータ、PLC、工場自動化システムや太陽光発電システム、エネルギー貯蔵装置、スマートグリッドのソリューションなどで韓国産業の発展をリードしてまいりました。日本市場では太陽電池モジュール、RMU、変圧器、配電盤などの特高圧製品の提供及びEPCを中心に太陽光事業展開を推進しています。
日本で太陽光FIT単価が下がり続けるなか、価格と品質競争力を持つ太陽光発電システムのトータルソリューションでLS産電のシェア拡大が予想されます。また、太陽光発電用設備の提供のみならず、洋上風力発電、バイオマス発電などにおいても、お客様のお役に立てると確信しています。
弊社は韓国の安養(アニャン)R&DCampus、清州(チョンジュ)電力研究所、天安(チョンアン)自動化研究所の3つの研究所を持ち、民間企業初の大電力試験が可能な電力試験技術院も運営しています。また、中国3大研究機関の1つである、上海電気科学研究所内にも研究施設を設立して、R&Dの競争力を高めています。
LS産電は製品の性能及び信頼性向上のための技術開発に投資を惜しみません。今後も最高の品質と優秀なR&D能力を備え、顧客中心のトータルソリューションを提供する企業として、より大きな成果を出すことを約束いたします。
プロフィール
LS産電株式会社
スマートエネルギー事業部 事業部長
呉敎先氏
SUMECは
3つの強みを日本で活かす
日本での未稼働案件ルール改正については、当社の事業は太陽光パネルをサプライチェーンの川下へ提供することですから、それほど影響は無いと見ています。また、FIT価格も下がっていますが、14円は世界的にみてもまだ高い。主な原因は日本のEPCコストが非常に高い点にあります。ただ、それも下がっており、サプライチェーンにおけるマージンも最小限になっていくでしょう。
当社は3つの強みを日本市場で活かしたいと考えています。1つは「革新性」。「MWT」シリーズを中心とした製品は、ハイパワーながらコストは他社製品とほぼ変わりません。次に当社への「信頼性」。米フォーチュン誌のトップ500企業にランクインしていますし、中国政府による国営企業という点も信頼を与えられると思います。3つ目は「安定性」。当社のメインスタッフは、長年勤務してきた人たちで構成されています。
日本市場においては、2つの戦略を同時進行させます。1つは住宅などへ向けた発電システムの提供で、もう1つは大規模な既存プロジェクトへの参入です。他にもデュポンなどの米国企業と提携し、彼らの資材による製品を使ってユニットモデルを構築し、他社との差別化を図ろうと考えています。
日本での出荷量は数年前に累計で600MWに達し、今年中にもう100MW増加する予定です。今後は太陽光発電が私たちにとって中心のエネルギーになっていくと信じています。
プロフィール
SUMEC Japan 株式会社
代表取締役社長
張弩(チョウド)氏
エヌ・ピー・シーは
太陽光発電の
循環型スキームを構築
私たちNPCは、様々な太陽光パネル製造装置を世界中の太陽光パネルメーカーに納めています。太陽光発電業界がまだ黎明期にあった1994年、太陽電池製造用の真空ラミネーターを開発し、欧米市場を中心に販売を開始しました。以来、搬送や溶接、検査など、各種の要素技術を確立し、結晶系・薄膜系を問わず、太陽光パネルの製造に必要な装置一式をフルラインで提供できる日本唯一の企業となっています。
現在、弊社では、太陽光パネルの「リユース」「リサイクル」にも力を入れています。合弁会社を通じたリユースパネルの販売や、パネルの中間処理サービスの提供など、将来的なパネルの廃棄処理問題を見据えた事業展開を図っています。
ご提案したいのは、太陽光パネルの循環型スキームです。例えば、従来の方式では、アルミフレームなどパネルの一部しかリサイクルできず、その他はガラス・金属混在のまま産廃として埋め立て処理されることが多くありました。一方、私たちのリサイクル方式なら、ガラスと金属を分類し、極限まで再資源化することができます。ガラスが割れているパネルであっても、自動化された「割れガラスパネル分離装置」で適正に処理することが可能です。
太陽光発電を日本の主力電源としていくためには、パネルの「リユース」「リサイクル」が不可欠です。私たちのソリューションが、一助となればと願っています。
プロフィール
株式会社エヌ・ピー・シー
代表取締役社長
伊藤 雅文氏
取材・文/廣町公則、大根田康介
SOLAR JOURNAL vol.29(2019年春号)より転載