“大規模な淘汰”が太陽光発電のチャンスを創出?
2016/08/10
低圧分譲の聴聞が実施され認定の取り消しが始まる
未稼働設備に関する認定取り消しの動きは、2013年の9月から始まっている。2012年度中に認定を受けた未稼働の400 kW以上の太陽光発電設備を対象に報告徴収を実施。この結果を踏まえ、建設場所や設備が未決定の案件については段階的に認定の取消が行われた。
2014年度には、認定の条件として50kW以上の太陽光発電設備に対し失効期限が設定された。併せて、2013年度に認定を受けた運転開始前の400 kW以上の太陽光発電設備についても、報告徴収と段階的な認定の取り消しが行われた。
現在のところ、50kW未満の低圧設備には失効期限がなく、未稼働に対する聴聞も行われていない。
しかし、同じ低圧でも、合計して400 kW以上になる分割案件に対しては、すでに報告徴収が始まっており、今後は聴聞を実施し、2017年頃からは実際に取り消しが進むと考えられる。
合計400 kW未満の分割案件、あるいは、単独での低圧案件については、現在はターゲットになっていないが、今後の対応については不明だ。
未稼働案件の大量転売も大きなチャンスが訪れるか
今後の日本のエネルギー政策は、太陽光を中心に展開することは間違いない。
原発再稼働は限定的であり、CO2削減の観点から火力発電もあまり増やせない。自然エネルギーの中で、風力は日本には不向きであり、小水力とバイオマスは資源量が少ない。「太陽光偏重」との批判があるが、良いものが普及するのは当然のこと。
新制度への移行は、未稼働案件を多く抱える事業者にとってはピンチだが、コスト削減を武器に新規案件を開拓している業者にとってはチャンスになる。
また、来年4月の新制度への移行を前に、手持ちの未稼働案件が大量に転売に出される可能性がある。
太陽光発電における大規模な淘汰の始まりであり、勝負はこれからだ。
村沢義久
環境経営コンサルタント(元東京大学特任教授)
米コンサルティング会社や大手投資銀行などを経て、2005年より、東京大学特任教授として地球温暖化対策を研究した後、2013年より現職。化石燃料に頼らない「燃やさない文明」を提唱し、低炭素社会の実現に注力。著書に『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』など。
※『SOLAR JOURNAL』vol.17 より転載