CO2フリーの電力を地産地消! 山形県で水力発電所由来の電力の利用強化へ
2020/09/14
東北電力が、山形県内で再生可能エネルギーの利用を強化する。水力発電所由来の電力はCO2フリーで、企業のPRなどに活用可能だ。通常の電力料金に追加コストが発生するものの、かなり低い水準に抑えられている。
県内の水力発電所の電気
電力の地産地消でCO2削減も
7月22日に発表された、東北電力株式会社の新たな電力プランは「やまがた水力プレミアム」。山形県企業局の水力発電所で発電された電気を、県内の特別高圧・高圧の需要家に販売する。CO2排出量の削減といった需要家のニーズを満たすと同時に、再生可能エネルギーの地産地消を実現する。
再生可能エネルギーによる電気はCO2を排出しないため、環境意識の高い需要家の間でニーズが高まっている。こうした電気へ切り替えるメリットは、企業のイメージアップだけにとどまらない。「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」といった国への定期報告にも活用できる。
CO2フリープラン「やまがた水力プレミアム」では、需要家は東北電力の通常の電力契約に加えて、環境価値に相当する料金を払う。2020年度の価格は2.20円/kWhで、2020年9月から2022年3月末までの使用電力が対象だ。募集上限は2億9,800万kWh、申込期間は2020年7月22日から2021年9月30日。募集上限に達した場合には受付を終了する。
「やまがた希望創造パワー」は
対象を全需要家に拡大
同日、山形県の産業・経済の振興のための電力メニュー「やまがた希望創造パワー」の対象拡大も発表された。これは再生可能エネルギー由来の電気で、2018年4月から東北電力と山形県が共同で提供している。対象は県内の製造業で、県企業局の水力発電所で発電された電気だ。
今回、製造業に限定されていた対象が、業種問わずすべての需要家に拡大された。法人に加え個人事業主も対象となる。対象期間、募集上限、申込期間は「やまがた水力プレミアム」と同様。対象である7つの電力料金プランの電力量料金単価が、約6%割引される。申込先は山形県企業局で、東北電力ではないため注意が必要だ。
再生可能エネルギーによる電力メニューは、ほとんどの大手電力会社で取り扱いされている。再エネ電力100%での事業活動をコミットする国際イニシアチブ・RE100の参加企業が増加し、需要家の意識は高まりを見せる。再エネの主力電源化に向かって、市場を大きく動かす追い風になりそうだ。
DATA
文:山下幸恵(office SOTO)