低圧太陽光の分割審査、10kW未満の地上設置にも拡大へ。資源エネルギー庁が決定
2021/04/14
低圧太陽光発電設備の分割案件対策がさらに強化される。資源エネルギー庁は、10kW未満の地上設置の案件について分割審査を行うことを決めた。FIT認定にあたり地域活用要件が設けられたことによって、同案件は昨年の約4倍に増えているという。分割審査によって、意図的な「地域活用要件逃れ」を防ぎたい意向だ。
「地域活用要件逃れ」で4倍増
10kW未満の地上設置案件
10~50kWの低圧太陽光発電設備に対しては、2020年4月からFIT認定にあたり地域活用要件が設けられた。地域活用要件とは「①再エネ発電設備の設置場所で少なくとも30%の自家消費等を実施すること」「②災害時に自立運転を行い、給電用コンセントを一般のために用いること」を義務付けるものだ。小規模な再エネ発電設備などに対し、自家消費や地域一体的な運用を促している。
資源エネルギー庁によると、この地域活用要件の適用を逃れるため、本来なら10~50kWとなる発電設備を分割する事例が増えているという。3月22日の第30回・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会では、10kW未満の地上設置の案件が、今年度に入り昨年の約4倍に増えたと報告された。2019年度は937件だった申請件数は、2020年度は4,048件にのぼる。
(出典:資源エネルギー庁)
審査対象を10kW未満にも拡大
2021年4月1日から実施
こうした状況を受け、同委員会では10kW未満の地上設置案件に限り、10kW以上の案件同様に分割審査を新たに実施することを決定した。具体的には、隣接地で複数のFIT認定を取得したものの、需要設備にコンセントしかないケースなどが想定された。
委員からは「可及的速やかに実施すべき」という意見が挙がり、資源エネルギー庁は同日付で2021年4月1日から適用する旨を発表した。
分割案件は、一般送配電事業者側への不必要な電柱やメーターなどの負担増につながることに加え、発電所の適切な保安管理が行われない可能性が懸念されている。これまでにも、地権者の確認を2014年までさかのぼって行うなどの措置がとられてきた。(参考『太陽光発電設備の分割案件が相次ぐ! 2014年まで地権者の確認を遡り”保安規制逃れ”を防ぐ<分譲物件・禁止・保安規定>』)
DATA
第30回・再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会
資源エネルギー庁:10kW 未満太陽光発電設備の FIT 認定申請に係る今後の審査の厳格化について(お知らせ)
文:山下幸恵(office SOTO)