<工場×自家消費>自家消費型太陽光発電導入事例|メリットを最大化するポイントとは?
2021/07/16
FITから自立した太陽光発電の普及方法として、各地で導入の進む自家消費型太陽光発電。「逆潮流」を防ぎ、自家消費を最大化することに成功した工場での導入事例をご紹介しよう。
逆潮流なく自家消費を最大化
安全性も高めるシステム構成
工場における自家消費型太陽光発電の導入が広がる中、課題となるのは、逆潮流の制御と安全性の確保だ。
天気によって変動する発電量と、時間によって変動する電力消費量(負荷)とのバランスを調整して、電力系統へ電力が流れる「逆潮流」を防ぐこと。そして、万が一の際にも、太陽光発電設備の近くで働く従業員や資産に危険が及ばないこと。この2つを両立しつつ、自家消費の割合を最大化することがポイントだ。
2019年3月に太陽光発電設備の運転を開始したこの工場では、休日は操業を停止するため、平日に比べて負荷が非常に小さくなる。平日の操業中も、例えば昼休みには多くの装置が止まって負荷が減少するなど、急激かつ大きく変動する。その状況で電力会社との連系協議をスムーズに運ぶため、逆潮流を流さない前提での契約がなされている。
他の多くのケースと同様、逆潮流を防ぐために逆電力継電器(RPR)が設置されているが、通常、RPRが作動するとブレーカーが作動するか、パワーコンディショナが停止されるため、太陽光システムが負荷のレベルまで最大限に発電することは難しく、自家消費の割合を最大化できない。これらの課題を解決するために、ソーラーエッジの製品が導入された。
メーターが連系点で電力の方向を正確に読み取り、この読み値に合わせてパワコンが瞬時に出力を絞る。ソーラーエッジ製パワコンとメーターの組合せによる素早い逆潮流制御により、RPRが働くことなく自家消費を最大化することに成功した。
また、通常使用においても、太陽光発電システムの直流ケーブルには高い電圧がかかっているが、ソーラーエッジのシステムは、「系統から電力が供給されない」「パワコンのスイッチをオフにする」「直流ケーブルが断線する」などした際に、直流回路の電圧を安全電圧に抑える機能を備えている。施工やメンテナンス時に作業員が高圧の直流電圧を扱う必要もなくなり、安全な作業が可能となる。
この工場においては、月に約15万円、年間では180万円相当の電気料金を削減できているという。システム導入のコストが約6年で回収できる計算だ。
自家消費型太陽光の工場における導入課題を克服し、メリットを最大化するシステムといえるだろう。
DATA
所在地:茨城県古河市
システムオーナー:鶴田電機株式会社
運転開始年月:2019年3月
システム容量:52.8kW(DC)/ 49.5kW(AC)
システム導入コスト:1,000万円
SOLAR JOURNAL vol.37(2021年春号)より転載