【経年事例レポート】太陽光発電所の運転開始から8年超。防草シートの効果はいかに?
2021/08/30
雑草対策の切り札ともいえる防草シート。山梨県の山間に位置し、シート敷設から8年を経過した「韮崎ソーラーファーム」と、同じく5年が経過した「穂坂ソーラーファーム」の2つの太陽光発電所を取材した。経年による変化は果たして……!?
1. 韮崎ソーラーファーム(2013年7月運転開始)
2. 穂坂ソーラーファーム(2016年8月運転開始)
農地に囲まれた太陽光発電所
雑草の繁茂は抑えられているか?
山梨県韮崎市の山間に位置する発電出力1250kWの「韮崎ソーラーファーム」。2013年、この発電所には山梨県で初めて、白崎コーポレーションの防草シートが敷設された。それから8年。防草シートの経年変化をリサーチするべく、現地に赴いた。
韮崎ソーラーファーム。パネル前の広いスペースを防草シートが覆って雑草を寄せつけていなかった。
この高圧太陽光発電所の周囲には農地が広がっており、雑草繁茂の要因となる種子の混入が避けられない。運転開始は2013年の7月末。発電所の建設中に防草シートの敷設も同時進行した。
この案件を担当した、白崎コーポレーション東京支店の太陽光O&M特販営業部エリアマネージャーである丹澤一浩氏によると、同社の公共工事における実績や商品を説明したり、防草シートを採用した場合の費用対効果の試算を示したりする中で、防草シートのメリットに対する理解を得て、みごと採用に至ったそうだ。
「まだ防草シートを太陽光発電に敷くという発想がなかった頃、全国的にも早い段階で導入していただきました」と丹澤氏は当時を振り返る。オーナーの先見の明といえるだろう。
この現場で防草シートを施工したのは、公共事業におけるシート施工の経験を有していた株式会社アセラ技研だ。
太陽光発電所でのシート施工は同社にとって初めての経験だったこともあり、丹澤氏が点検を兼ねて月に3〜4回現場に赴き、不備がないかを確認しながら施工品質を高めていった。2,3日つきっきりで基礎周りの処理をレクチャーするなど、太陽光発電所に求められる技術指導を実施した。
株式会社アセラ技研の久保田代表。防草シートについては「今後も雑草をうまく抑えてくれるだろう」と高く評価していた。
発電所の建設と防草シートの施工を同時に行うことにはメリットがある。
基礎ができたらパネル下の部分を先に貼り、パネルを載せた後でパネル間の通路部分を貼る、といった具合に、作業を楽に、かつ綺麗に施工できるのだ。韮崎ソーラーファームでは、土木の責任者と工程の確認もしあいながら、より効率的に、かつより品質の高い施工をアセラ技研が実現した。
パネル下の様子。基礎ができた段階でシートを施工していった。シートに汚れが堆積してはいるが、雑草は抑えきっている。
いま、太陽光発電所での防草シート採用は運転を既に開始している案件がほとんどだが、
建設段階で防草シートの採用を決定していれば、より効率的で質の高い施工が可能となるだろう。
さて、それでは以下に、写真とあわせてリサーチの結果をお伝えしよう。
法面部分も綺麗に施工し、雑草を抑えている。隣地の植物から種子が来てもがっちりと発電所を守っている。
複数のシートを重ねて雑草を防ぐ。
パネルの間も雑草は見当たらない。
白崎コーポレーションの防草シートの特徴のひとつであるテープ。等間隔に貼ってあるこのテープの下には、防草シートを地面につなぐ杭が打ち込まれている。ご覧のとおり、シールの周りからは草が生えていない。施工時には、予め印が付けられている箇所に杭打ちをすればよいから、施工に要する時間を短縮できる。
架台の基礎周りは、直線にピタッと合わせて施工されている。
そして、防草シートの効果が施工によって大きく異なることは、これまでの記事でもお伝えしたとおりだ。韮崎ソーラーファームでは、電柱や排水溝など、細かいところまで、丁寧な施工が行き届いていた。
キュービクルの周りは経年の影響もみられたが、雑草は生えていない。
ケーブルの束にはシートをかぶせて丸ごと保護。
水道メーターの周りもこの通り。雑草を生やさないという意志を感じるほどだ。
電柱の周りもしっかりと施工。系統へ電気をつなぐ部分まで、抜かりなく雑草対策がなされていた。
運転開始から6年が経過
特徴的な円柱タイプの基礎
次に、韮崎ソーラーファームと同様に、韮崎市の山間にある「穂坂ソーラーファーム」を訪れた。
穂坂ソーラーファーム。一見するだけで、雑草の繁茂は見られない。
こちらは2016年の8月に運転を開始した発電出力1,000kWの高圧案件だ。韮崎ソーラーファームと同様、発電所の建設と並行して防草シートを施工したもので、施工から5年を経過している。
この発電所で特徴的なのは、円柱タイプの基礎。
地面の下に文化財が埋まっている可能性があるとのことから、地面を深く掘削することができなかった。そのため、十分な重さを確保するため、円柱タイプの基礎が採用されている。
前述の丹澤氏は、「太陽光発電所の基礎は現場によってさまざまに異なりますので、その違いにあわせた施工が必要です」と言う。もし運転開始後に防草シートの施工をしたのだとすると、なかなかに厄介な施工となったのではないかと推察される。
特徴的な円柱タイプの基礎。アレイの間に雑草は見当たらない。
パネル下の様子。シートではないところから生えて草が右手前に見えるが、シートはしっかりと雑草を抑えていた。もしこの案件で建設後にシートを施工することになったとすると、円柱周りの施工に苦労させられたのではないだろうか。
丸い柱の根本には、シートを切って上手く施工してある。
フェンス周りも防草シートが美しく取り囲む。近隣には住宅もあるため、景観の面でも防草シートの効果は大きい。
フェンスに囲まれた通路部分は、土地の登記簿上「道路」とされていた部分。防草シートで通路然とした佇まいとなっている。
ケーブルが重なっている部分には、余裕をもってシートを被せている。草が生えやすい箇所は幾重にも防止策を実施する。
経年を感じさせる部分でも、雑草は生えていなかった。
以上のように、施工から6年を経た穂坂ソーラーファームにおいても、防草シートの効果は健在だった。特徴的な基礎に対しても丁寧な施工が実を結んで雑草は確実に抑えられ、景観も保たれていた。
2つの発電所を案内してくれた丹澤氏は、「これらの経年事例を沢山みているので、お客様に自信を持ってご説明できるんです」と胸を張る。
その言葉通り、経年劣化に対する防草シートの効果は絶大だった。
発電量の低下を防ぎ、草刈りの手間やコストを削減し、景観も美しく整える。やはり防草シートは太陽光発電所の雑草対策における切り札だといえるだろう。
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撮影:松尾夏樹(大川直人写真事務所)
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