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太陽光・蓄電池のPPAで契約電力1割カット!充放電を適切にコントロール

PPAビジネスの多様化が進み、電気料金の削減に効果的な新サービスが登場した。小売電気事業者のグローバルエンジニアリングは、太陽光発電のPPAに蓄電池を組み合わせた新サービスによって、顧客の契約電力を1割以上低減することに成功。いったいどのようなサービスなのか、注目の内容に迫る。

導入費用や保険料の負担なし
蓄電池の制御で契約電力カット

PPA(Power Purchase Agreement、電力購入契約)としては現在、太陽光発電によるサービスが広く知られているが、全国で小売電気事業を展開するグローバルエンジニアリング(福岡市)は、太陽光発電と蓄電池による新しいPPAサービスを一部エリアで開始した。

新たなPPAサービスでは、太陽光発電と蓄電池を導入するためのイニシャルコスト、ランニングコスト、保険料などをPPA事業者である同社が負担する。そのため、顧客は電気の使用量に応じたサービス料金を支払うだけでよく、減価償却をする必要もない。

また、電力卸市場価格が安いタイミングで蓄電池を充電し、市場が高いときには放電して電力コストを抑えるといったダイナミックプライシングの運用も同社が一貫して行う。さらに、雨天や夜間など、PPAによらない電気も小売電気事業者である同社が供給する。これによって、需要家の契約電力を1割以上下げることができたという。

契約電力を1割超引き下げ
効果的な電気料金の抑制を実現

「高圧の電気を契約中の需要家に対して、PPAによって太陽光発電と蓄電池を導入し、当社が蓄電池の充放電を適切にコントロールすることで、契約電力を1割以上抑えることに成功しました。契約電力を引き下げることができたため、電気料金の削減につながっています」と、同社の担当者は新サービスの導入事例を紹介する。

基本的に、契約電力は電力デマンドの1年間の最大値によって決まり、電気料金の構成要素のひとつである基本料金の金額を決定する。基本料金は、電気の使用量に関わらず毎月固定額が請求されるため、契約電力を下げることで基本料金を抑制できれば、電気料金の負担を抑えるのに役立つ。

太陽光発電のみのPPAでは、雨天や夜間に電力デマンドのピークが発生する可能性があり、必ずしも契約電力を引き下げる効果が期待できない場合もある。「蓄電池と組み合わせたPPAサービスだからこそ、契約電力の大幅な引き下げが可能になります」と担当者は胸を張る。

自社で需給管理や遠隔監視を実施
需要家側のエネマネに強み

一般的に、同サービスのように、需要家の電気メーターの後ろ側に太陽光発電や蓄電池を設置することを「BTM(Behind The Meter)」と呼ぶ。端的にいうと、BTMとは、系統側ではなく需要側に設置された分散型エネルギーリソースのことだ。

同社は、2012年度からBTMに関するさまざまな実証事業に参画しており、これまでの取り組みで培った知見が今回の新サービスにも活かされている。「当社では、自社内に設置したデマンドサイドネットワークセンターによって、全国の電気の需給管理や蓄電池の遠隔監視・デマンドレスポンスの遠隔制御操作を行っています。太陽光発電・蓄電池のPPAに関心がある需要家はぜひ声をかけてほしい」と担当者は力を込める。

DATA

株式会社グローバルエンジニアリング


取材・文:山下幸恵(office SOTO)

4月23日(火)に開催する「第29回PVビジネスセミナー」では、2024年度の国の政策動向や、PPA・蓄電池を活用した新たなビジネスモデルのほか、長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望について講演します。


2024年、再エネの新規開発スキームは、固定価格買取制度に頼らないオフサイトPPAが主流になりつつあります。今回は2024年度の国の政策動向や、蓄電池を活用した新たなビジネスモデルを徹底解説します。また、今年1月にスタートした長期脱炭素電源オークションの仕組みや今後の展望、東京都が取り組む事業者向け再エネ導入事業を紹介します。

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