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【実証実験⑤】国内初、営農型ペロブスカイト太陽電池の共同実証実験開始

積水化学工業株式会社と株式会社TERRAは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を営農型太陽光発電に設置するための国内で初めての共同実証実験を開始した。その概要をお伝えする。

 

<目次>
1.営農型の課題を克服できる性能
2.営農型の実用化へ実証実験の概要

 

営農型の課題を
克服できる性能

世界全体で気候変動が問題視され、2050年の脱炭素社会実現に向けてエネルギーの脱炭素化が求められる。ただし、平地の少ない日本では大型太陽光発電所の建設できる余地があまり残されていないという意見もある。その点、軽量で柔軟という特長を持つペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池では設置が難しかった場所への設置が可能であり、日本の救世主と目されている。

ソーラージャーナルではペロブスカイト太陽電池の実証実験を紹介しているが、今回取り上げるのは営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に設置するための国内初となる実証実験。千葉県匝瑳市にて2024年8月2日より開始された。

曲面レンズ型に配置したフィルム型ペロブスカイト太陽電池

共同で実証実験を開始したのは積水化学工業株式会社と株式会社TERRA。積水化学は、独自技術である「封止、成膜、材料、プロセス技術」を活かし、フィルム型ペロブスカイト太陽電池開発の肝といわれる屋外耐久性において10年相当を確認し、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築。TERRAは、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)に特化して自社発電事業・EPC・コンサルティング・部品開発を行っている。

従来の営農型太陽光発電システムでは、太陽電池および架台の重量を支持する風荷重や重心バランスなど、施工性等に課題があった。今回の実証実験では、ペロブスカイト太陽電池の軽量性を活かした架台構成や施工性の検証も目的。TERRAが参加した背景には、営農型が得意なだけでなく、市民エネルギーちばが持つペロブスカイト太陽電池を前提とした断面がレンズ状のモジュールに関する特許についての占有権を有していることがあるようだ。

実証で使用する設備

営農型の実用化へ
実証実験の概要

■概要
実施場所:千葉県匝瑳市飯塚
実証実験内容:営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の
設置方法の確立:①レンズ型モジュールにおける曲面での発電効率の測定、予測値と実測値の比較②営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)設備下で栽培する農作物への影響調査

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