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AI技術を融合した「モジュール式蓄電システム」 高い安全性とコスト効率が強み

蓄電システムに特化したSigenergyは、AIを活用して充放電を最適にコントロールする「モジュール式蓄電システム」の提案に力を入れている。同社の日本・韓国支社長である趙 宏碧氏に話を聞いた。

 

<目次>
1.再エネ分野でAIを活用 分散型システムに貢献
2.「モジュール式」で蓄電池に六重の安全対策
3.DCリンクでロスを抑制 RTEを最大2%向上
4.運用・保守でもAIを活用 エネルギー利用をスマート化

 

再エネ分野でAIを活用
分散型システムに貢献

Sigenergy(シグエナジー)は、太陽光発電、蓄電システム、高効率なEV充電器の分野に特化したエネルギーソリューション企業だ。創業者の許映童氏は、世界トップレベルのICTソリューション企業でスマートエネルギービジネスを立ち上げ、人工知能(AI)を使った事業で成功を収めた。その後、再生可能エネルギー分野でもAIを活用し、よりスマートで効率の高いソリューションを提供するためにシグエナジーを創業した。同社は2025年1月末現在、欧州や米国、中東、アジア太平洋地域の60ヶ国に販売網を持ち、100を超えるグローバルパートナーと連携している。

日本・韓国支社長の趙宏碧氏は、「当社は、カーボンニュートラル達成を目指す日本を、重要な市場だと位置付けています。日本では、太陽光発電や蓄電システム、EVなどを活用した分散型のエネルギーシステムが形成されつつあります。大規模な発電所から需要地へ電気を送る従来のエネルギーシステムからの転換を図る中、これらのさまざまなエネルギーリソースを賢く利用する重要性が高まっています」と話す。

 

「モジュール式」で
蓄電池に六重の安全対策

インバータに蓄電池のインターフェースを内蔵したことで、DCリンクを実現した。(提供:Sigenergy)

シグエナジーは、工場や事業場などの需要家に向けて、100kWのパワーコンディショナ(PCS)と蓄電池をパッケージした「モジュール式蓄電システム」の提案を強化する。モジュール式とは、小規模な構成要素を組み合わせて製品を完成させる方法で、EVなどの製造現場で採用されている。1台のPCSで48kWhから253kWhまで増設が可能なため、需要家のニーズに合わせて蓄電池の容量を柔軟に設定できる。

モジュール式という考え方に基づいて、同社の蓄電システムには六重の安全対策が施されている。内蔵の防火モジュール、全面の温度センサー、エアゲル断熱パッド、チップレベルでの煙検知性能、爆破の衝撃を逃す弁、高温耐火絶縁パッドを搭載して、安全性を高め
ている。電池セルに異常な高温があると、秒単位で迅速に検出する。12kWhのバッテリーパックごとに独立した防火装置が設けられているため、万が一、バッテリーパックが過熱しても延焼を防げる。モジュール式の利点には、一部が故障しても、その部分を交換するだけですぐに復旧できることもある。

 

DCリンクでロスを抑制
RTEを最大2%向上

変換の回数を抑えることでロスの抑制やコストダウンを実現する。(提供:Sigenergy)

太陽光発電と蓄電池を併設するにあたって、PCS側で接続するDCリンク方式を採用していることも、シグエナジーの特徴の1つだ。これによって、太陽光発電による直流の電気をそのまま充電できるため、変換によるロスが抑えられる。蓄電池を系統側に接続するACリンク方式の場合、太陽光発電の直流の電気をいったん交流に変換し、蓄電池のPCSで再び直流に戻して充電するため、どうしても電気的なロスが発生しやすい。

PCSはコンパクトかつ軽量で、輸送コストの削減に役立つ。(提供:Sigenergy)

蓄電システムの性能を評価する指標に「ラウンド・トリップ・エフィシェンシー(RTE)」がある。エネルギーを貯めて取り出す際に、利用可能な割合を示すものだ。日本語で「往復効率」と呼ぶこともある。シグエナジーの蓄電システムは、DCリンク方式によって損失を抑えるため、RTEを最大2%向上できるとしている。

DCリンク方式を採用したことによって、複数台の蓄電システムを並列する際にもメリットが生まれた。システムの構成がシンプルなため、初期投資を大幅に削減できる。さらに、シグエナジーの蓄電システムには、AIを活用したソフトウェアが標準搭載されており、データの記録装置などが不要だ。システム全体を統合したシームレスな設計となっているため、運用保守のコストを抑えられるとしている。

 

運用・保守でもAIを活用
エネルギー利用をスマート化

同社が得意とするAIは、システムの運用や保守において大きなアドバンテージを発揮する。AIによってPCSと蓄電システムが連携し、充放電を最適にコントロールするため、発電した電気を無駄なく活用できる。また、製品の運用・保守に関しては、AIを用いたスマート運用保守プラットフォームを活用して、問い合わせを24時間365日受け付けるシステムを構築している。トラブルなどの情報をAIが解析して、迅速に解決へと導く。

趙氏は、「シグエナジーは、AIを活用した効率的で持続可能なスマートエネルギーシステムを通じて、エネルギーコストの最適化とエネルギーマネジメントのスマート化を支援します」と話している。

PROFILE

Sigenergy
日本・韓国支社長
趙 宏碧氏

問い合わせ


Sigenergy
東京都中央区入船1-9-8
TEL:090-3060-1666
Mail:info@sigenergy.com

PV EXPO【春】に出展!
ブース番号:S8-16


文/山下幸恵(office SOTO)

SOLAR EXPO(2025年春号)より転載

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