政策・制度

発電側課金の割引単価、ついに公表! 割引エリアの系統マップも出揃う

2024年度から開始される発電側課金に関して、電力・ガス取引監視等委員会がkW課金の割引単価の試算値を公表した。一般送配電各社による割引エリア案も発表され、発電側課金の全体像がようやく明らかになった。

送配電設備に与える影響に応じて
「kW課金」の負担額を割引

発電側課金は、託送料金の約1割を発電事業者が負担する制度で、2024年度からの新設が予定されている。発電所の規模に応じて課金される「kW課金」と、発電量に対して課金される「kWh課金」によって構成される。kW課金とkWh課金の単価については、こちらの記事を参照してほしい。(参考:発電側課金、全国の年間合計額は3856億円。この秋にも正式な課金単価発表へ|SOLAR JOURNAL

(割引制度の基本的な考え方。出典:電力・ガス取引監視等委員会)

このうちkW課金には、基幹系統に与える影響に着目した「割引A」と、特別高圧系統への影響に着目した「割引B」が設定される。電源が送配電設備の整備に与える影響に応じて課金額を軽減することで、新設の電源をより系統混雑の少ないエリアへと誘導するためのインセンティブと位置付けられている。

段階別の割引単価が公表
立地地点によっては両方適用も

(発電側課金の割引単価等に関する試算。出典:電力・ガス取引等監視委員会)

電力・ガス取引監視等委員会は10月31日、発電側課金の割引額の試算値を発表した。現時点での仮定を踏まえた試算は、上表の通り。

それぞれの立地地点の系統混雑の具合に応じて、基幹系統に接続する電源の「割引A」は3段階、配電系統に接続する電源を対象とした「割引B」は2段階の割引単価が算出された。もっとも割引単価が大きいのは、北海道電力ネットワークの「割引A-1」で、57.82円/kW・月だった。立地地点によっては、「割引A」と「割引B」の両方が適用されることもある。

「割引相当額付加単価」も試算
送配電各社は割引エリアを公表

今回、併せて試算された割引相当額付加単価とは、割引分を回収するためにエリア全体で割引した額を合計し、すべての対象電源に均等に負担を上乗せするもの。一般送配電事業者が発電事業者に課金する際に付加される。したがって、実際に発電事業者が負担するのは、kW課金に割引相当額付加単価を加えたものから、割引を差し引いた金額になる。

また、一般送配電各社は10月17日、発電側課金の導入に伴う割引エリアを各社のWEBサイトで公開した。系統マップなどで変電所の位置を示した上で、それぞれの変電所に適用される割引区分を公表している。

DATA

電力・ガス取引監視等委員会


文:山下幸恵(offce SOTO)

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