政策・制度

屋根設置は11.5円 前年度比0.5円引き下げ FIT・FIP買取価格が決定

経済産業省は3月19日、2024年度以降の再エネのFIT制度とFIP制度買取価格と賦課金単価を公表した。10kW以上の事業用太陽光発電の屋根設置については、11.5円/kWhとして前年度より0.5円引き下げた。

<目次>
1. 2023年10月に屋根設置区分を新設
2. 再エネ賦課金 大幅に増額
3. 2024年度以降のFIT制度の買取価格

 

2023年10月に 
屋根設置区分を新設

事業用の屋根設置は地上設置より2~3割高く買い取り

経済産業省は3月19日、2024年度以降の固定価格買取制度(FIT)の調達価格、フィード・イン・プレミアム(FIP)の基準価格を決定し公表した。2024年度における太陽光発電の調達価格・基準価格についてはすでに決まっており、一定規模以上は入札制、連系出力50kW以上入札対象未満は9.2円/kWh、10kW以上50kW未満で地域活用要件に適合した案件は10円/kWhとなっている。

新たに決まったFIT制度における2025年度の買取価格は、入札対象外の住宅用太陽光発電(10kW未満)を15円/kWhとして2024年度より1円引き下げた。10kW以上の事業用太陽光については、2023年10月から新たに「屋根設置」区分を創設し、「地上設置」よりも2~3割高く設定している。

事業用太陽光発電の「地上設置」は10kW以上50kW未満が10円/kWhで2024年度と同価格としている。50kW以上は8.9円/kWhで2024年度から0.3円引き下げた。「屋根設置」は、11.5円/kWhで2024年度から0.5円引き下げている。

陸上風力発電(50kW未満)は2025年度が13円/kWh 、2026年度が同12円と1円引き下げた。50kW以上の入札上限価格は14円で、前年度より1円引き下げている。地熱発電とバイオマス発電(入札対象外)については、2023年度の価格を据え置いた。

再エネ賦課金 
大幅に増額

再エネ賦課金は制度創設以来、初めての減額

また、経済産業省は再エネの普及のため電気料金に上乗せしている賦課金を、2024年度は1kW時あたり3.49円にすると発表した。2023年度の同1.40円から2.09円引き上げた。2023年度は2012年の制度創設以来、初めての減額となったが、再び引き上げられた。月400kW時を使う標準家庭で、4月の電気料金から月平均836円の負担増となる。

賦課金は、再エネ電力の固定価格買取制度(FIT)の費用などに充てるため、電気料金に上乗せされている。2012年の導入開始時は1kW時あたり0.22円だったが、その後増え続けた。賦課金は、再エネ電力を送配電事業者が買い取る費用から卸電力市場に売電して得る収入を差し引いた金額をもとに、経産相が年度ごとに金額を決定する。2024年度の賦課金単価は、2024年5月検針分の電気料金から2025年4月検針分の電気料金まで適用される。

2024年度以降の 
FIT制度の買取価格

図表で示した金額はkwhあたりの単価で、固定価格買取制度(FIT)ではこれに税を加えた額が調達価格(ただし、太陽光発電10kW未満を除く)。フィード・イン・プレミアム(FIP)ではこれが基準価格となる。

太陽光発電

① 住宅用太陽光発電・事業用太陽光発電(入札対象外)

FIT・FIP買取価格(出典 経済産業省)

② 事業用太陽光(入札対象)
2024年度の買取価格は、入札により決定する。2024年度の入札対象は、FIP認定対象のうち250kW以上となる。(ただし、屋根設置の場合は入札免除とする)。2024年度の入札回数は4回で、上限価格は、それぞれ9.20円、9.13円、9.05円、8.98円とする。

風力発電

① 陸上風力発電(50kW未満)

FIT・FIP買取価格(出典 経済産業省)

② 陸上風力発電(50kW以上)
2024年度の買取価格は、入札により決定する。2024年度の入札回数は1回で、上限価格は14円とする。ただし、入札容量が1.3GWを超えた場合には、同年度内に追加入札を実施し、上限価格は同年度の入札の加重平均落札価格または13円のいずれか高い額とする。

③ 陸上風力発電(リプレース)

FIT・FIP買取価格(出典 経済産業省)

④ 着床式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)
2024年度の買取価格は、入札により決定する。上限価格は事前非公表とする。

⑤ 浮体式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)

FIT・FIP買取価格(出典 経済産業省)

 

DATA

経済産業省ホームページ


取材・文/高橋健一

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