【環境省】太陽光パネルの再利用を義務づける法案も一つの可能性と大臣。検討継続を示唆
2024/09/10
太陽光由来の電気が増えて環境に貢献する一方、太陽光発電では「パネルの廃棄」が問題視されてもいる。2030年代後半に迎えるピークに向けた政府の見解を紹介する。
2030年代後半に
排出量がピーク
再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づくTIP(固定価格買取制度)の開始以降、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー発電の導入が促進され、幅広い業種から多様な事業規模の事業者等が新規参入。一方では、将来の廃棄等に対する地域の懸念が高まってきている。特に、2030年代後半に想定される太陽光パネルの廃棄のピークに十分に対応できる計画的な対策を今から準備することが求められている。
そのため、2023年4月には環境省、経済産業省が共同事務局となり、有識者等から構成される「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」が立ち上げられた。設立目的は、太陽光発電設備や風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに関する対応の強化に向けた具体的な方策について検討することだ。2024年1月には7回の議論を経て論点ごとの方向性を取りまとめた「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会中間取りまとめ」が発表されていた。
2024年6月14日の閣議後記者会見で、法制化を検討中という報道に対する意見を求められた伊藤信太郎大臣は「使用済みの太陽光パネルは、2030年代後半に、年間50万トンから80万トンの排出量のピークを迎えることが予想されておりまして、排出量の増加に対して計画的に対応していくことが極めて重要だと考えております」と返答。さらに「中間取りまとめを踏まえて、現在使用済み太陽光パネルの引渡し及び引取りが確実に実施されるための新たな仕組みの構築に向けて検討を進めているところでございます。法制化については、今後構築される新たな仕組みとしての選択肢の1つと考えておりますけれども、引き続き具体的な検討を深めてまいりたいと考えています」と答えるにとどめた。
太陽光発電に関する期待は大きいだけに、スマートな出口戦略の立案が欠かせない。
取材・文/四谷陽晴