政策・制度

【環境省】太陽光パネルの再利用を義務づける法案も一つの可能性と大臣。検討継続を示唆

太陽光由来の電気が増えて環境に貢献する一方、太陽光発電では「パネルの廃棄」が問題視されてもいる。2030年代後半に迎えるピークに向けた政府の見解を紹介する。

2030年代後半に
排出量がピーク

 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法に基づくTIP(固定価格買取制度)の開始以降、太陽光発電を中心に再生可能エネルギー発電の導入が促進され、幅広い業種から多様な事業規模の事業者等が新規参入。一方では、将来の廃棄等に対する地域の懸念が高まってきている。特に、2030年代後半に想定される太陽光パネルの廃棄のピークに十分に対応できる計画的な対策を今から準備することが求められている。
 そのため、2023年4月には環境省、経済産業省が共同事務局となり、有識者等から構成される「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」が立ち上げられた。設立目的は、太陽光発電設備や風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルに関する対応の強化に向けた具体的な方策について検討することだ。2024年1月には7回の議論を経て論点ごとの方向性を取りまとめた「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会中間取りまとめ」が発表されていた。
 2024年6月14日の閣議後記者会見で、法制化を検討中という報道に対する意見を求められた伊藤信太郎大臣は「使用済みの太陽光パネルは、2030年代後半に、年間50万トンから80万トンの排出量のピークを迎えることが予想されておりまして、排出量の増加に対して計画的に対応していくことが極めて重要だと考えております」と返答。さらに「中間取りまとめを踏まえて、現在使用済み太陽光パネルの引渡し及び引取りが確実に実施されるための新たな仕組みの構築に向けて検討を進めているところでございます。法制化については、今後構築される新たな仕組みとしての選択肢の1つと考えておりますけれども、引き続き具体的な検討を深めてまいりたいと考えています」と答えるにとどめた。
 太陽光発電に関する期待は大きいだけに、スマートな出口戦略の立案が欠かせない。


取材・文/四谷陽晴

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. いつまで続けるのか、ガソリン補助という愚策
  2. 地域の合意形成を伴走支援 再エネ導入の新たなモデルに ~ 宮城県 再生可能エネルギー地域共生促進税条例を施行 ~...
  3. 【申込受付中!】12/10東京開催!「系統用蓄電池ビジネス」セミナー 蓄電所市場で勝ち抜くヒント...
  4. 【北村コラム】ドイツの最新データで見る、再エネ電力の拡大と熱・交通の脱炭素化の停滞...
  5. テスラの家庭用蓄電池 Powerwallが全国のヤマダデンキで購入&設置できる。一気に身近になったPowerwallを見に行こう!...
  6. 【11月20~22日開催】『第12回PV EXPO関西』の注目ブースとカンファレンスなどの見どころを完全紹介!...
  7. 蓄電システムのSolaXがドイツサッカーをサポート 産業用の新製品を投入し、日本での展開も強化...
  8. グリッドコードとは? 太陽光発電事業者も知っておくべき系統運用の新ルール...
  9. 太陽光パネルの増設・更新を促進! 2024年度にルール見直し
  10. 「雑草」がエネルギー源に!? 名城大が発電を実演
太陽光業界最新ニュース

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.51 | ¥0
2024/10/31発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ