【2025年度の新制度②】適格事業者の認定と支援・非FIT非化石証書の直接取引拡大など
2025/04/02

第7次エネルギー基本計画が公表され、「再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する」と明記するとともに、2040年度の電源構成において再エネは4~5割、なかでも太陽光については「22~29%」に増大する目標が掲げられている。2025年度からスタートする新制度を中心に、今後の事業環境に大きな変化を与えるだろう太陽光関連施策を紹介する。
1. 第7次エネルギー基本計画~太陽光発電に関する政策方針~
1.1. 2040年度におけるエネルギー受給の見通し
2. 2025年春から長期安定適格太陽光発電事業者
3. 2025年度中に 非FIT非化石証書の直接取引拡大
3.1. 非FIT非化石証書の直接取引の状況
4. 2025年度から順次ペロブスカイト支援
5. 早ければ2026年度中に 優先給電ルールを変更
5.1. 出力制御の順番
6. 時期未定 パネルのリサイクル義務化
第7次エネルギー基本計画
~太陽光発電に関する政策方針~
2040年度におけるエネルギー受給の見通し
2025年春から
長期安定適格太陽光発電事業者
長期安定的に再エネ発電事業を継続できるプレーヤーを、「長期安定適格太陽光発電事業者(適格事業者)」として、経済産業省が認定する。適格事業者には、多極分散構造にある太陽光発電所を集約し、集約した事業を効率的に運用していくことが期待されている。この点を踏まえ、適格事業者に対しては、事業集約や集約した事業の効率的運用を支援するための施策が講じられる。なお、経済産業省では、将来的に数十社の適格事業者を認定していくことを想定しているという。
出典:資源エネルギー庁(再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会)
⇒適格事業者を選定し、事業集約の担い手に
適格事業者による太陽光発電の集約を支援し、集約した事業の効率的な運用を促す。
2025年度中に
非FIT非化石証書の直接取引拡大
非FIT非化石証書は、もともと小売電気事業者によるエネルギー供給構造高度化法の義務達成の手段としてつくられたものであり、原則的には高度化法義務達成市場において小売電気事業者が購入することとされてきた。しかし、環境価値に対する需要家のニーズを踏まえ、2022年度以降、一定の条件を満たす電源については、発電事業者と需要家間で証書を直接取引することも認められている。
現在、証書の直接取引が可能となっているのは、①「新設非FIT電源」、②「新設FIP電源」、③「卒FIT電源」、④「2022年度以降に営業運転開始となったFIT電源がFIP電源に移行した場合」の4種。2025年度以降は、上記④の営業運転開始時期に関する制約が撤廃され、「FIT電源から移行したFIP電源について、その営業運転開始時期にかかわらず、直接取引の対象とする」こととなった。
需要家にとっては、発電事業者と直接取引できる対象が拡がることで、環境価値の取得にかかるコストの低減や契約の簡素化を図ることが可能となる。発電事業者にとっても、証書の販路が拡大し、売れ残りのリスクが改善されるなどメリットは大きい。実際、証書の直接取引を開始した2022年度以降、取引量は着実に増加しており、今回の改正が、この流れを加速させることは間違いない。既設FIT電源のFIP転換を促進するものとしても期待される。
非FIT非化石証書の直接取引の状況
出典:資源エネルギー庁(総合資源エネルギー調査会 制度検討作業部会)
⇒FIP移行案件の運開時期に関する制約を撤廃
初期のFIT案件もFIP移行すれば需要家による非FIT非化石証書の直接取引が可能に。
2025年度から順次
ペロブスカイト支援
ペロブスカイト太陽電池の早期の社会実装に向けて、世界に引けを取らない規模とスピードで、「量産技術の確立」「生産体制の整備」「需要創出」を三位一体で進めていく。それぞれに予算による支援を行う(2025年度から順次実施)とともに、FIT/FIP制度においても近年中に新区分を設けて導入を促進する。
⇒FIT/FIPに新区分(時期未定)、予算による支援策も拡充
早ければ2026年度中に
優先給電ルールを変更
再エネの出力制御において、FIT電源とFIP電源を区別し、出力制御が必要な際には、まずFIT電源を制御の対象とし、足りない場合にのみFIP電源に制御をかける。これによりFIT電源の出力制御率は増加し、FIP電源(太陽光・風力)の出力制御率は大幅に減少することになる。早ければ2026年度中に、準備ができたエリアから順次運用を開始する。
出力制御の順番
出典:資源エネルギー庁(総合資源エネルギー調査会 系統ワーキンググループ)
⇒再エネの出力制御の順番を「FIT電源→FIP電源」とする。
時期未定
パネルのリサイクル義務化
太陽光パネルの適正なリユース・リサイクル・廃棄に向けて、義務的リサイクルを含む新たな制度を構築する。具体的には、設備所有者に対して使用済太陽光パネルの速やかな取り外しを求め、解体・撤去業者等に対して中間処理業者への引渡し義務を課し、収集運搬業者には再資源化に支障が生じない方法での収集運搬を求めた上で、広域的に太陽光パネルを引取り、一定水準以上の再資源化が可能な中間処理業者を主務大臣が認定し、再資源化等の実施を求めていく。
⇒太陽光パネルの義務的リサイクル制度を創設。
※2025年3月24日時点の最新情報であり、導入時期など制度の詳細については今後変更となる可能性もある。
取材・文:廣町公則
SOLAR JOURNAL vol.52(2025年冬号)より転載
4月22日(水)に開催する「第33回PVビジネスセミナー」では、公益財団法人自然エネルギー財団研究局長の石田雅也氏が「脱炭素ビジネスを推進するコーポレートPPAの最新動向」というテーマで講演します。
新たに策定された「第7次エネルギー基本計画」では、2040年度の再生可能エネルギーの導入目標を大幅に引き上げる必要に迫られており、そのためには特に導入が容易な太陽光発電と蓄電池の普及を加速させる必要があります。いま注目のコーポレートPPAの最新動向や、2025年度の環境省の政策方針、国内外で開発された最新テクノロジーを紹介します。