千葉県 今年1月に金属買い取り業者の規制強化条例を施行、茨城県は4月に施行へ
2025/03/10

金属ケーブルの盗難被害を防ぐため、千葉県は今年1月に特定金属類取扱業の規制に関する条例を施行した。関東地方では、茨城県が4月1日に金属買い取り業者への規制を強化する条例を施行する。
1.千葉県は今年1月に条例施行
2.6つの国の言語でチラシを作成
3.茨城県は4月1日に条例施行
4.発電事業者に多重的な対策を呼びかけ
千葉県は
今年1月に条例施行
(出典 千葉県警察本部)
千葉県では、太陽電池発電設備の電線や道路に設置されたグレーチング、マンホールなどの金属製の物品の盗難が急増・多発しており、被害にあった盗難品が県内の金属類取扱業者に売却されている。多発する金属盗難を防止するため、盗難被害の多い金属類(古物に該当するものを除く)を「特定金属類」と定め、売買などを規制する「千葉県特定金属類取扱業の規制に関する条例」が制定された。
千葉県の条例では、県内で金属類の買い取りをする業者は公安委員会の許可が必要になる。取り引きの際には売り主の本人確認を行い、取り引きの記録を3年間保管することが義務づけられる。さらに警察が必要に応じて立ち入り検査を行い、条例に違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる。
6つの国の言語で
チラシを作成
千葉県特定金属類取扱業の規制に関する条例(出典 千葉県警察本部)
条例の規制対象となり得る品目として千葉県警察本部では「電線」、「道路の側溝に設置されるグレーチング」、「マンホールの蓋」、「敷鉄板」、「足場板」、「銅板の建設材料」などを挙げている。このうちまだ使用できる物品は「古物営業法」の許可が必要だ。廃棄する製品を取り扱う場合は「特定金属類取扱業」の許可が必要になる。千葉県警はホームページに、日本語、英語、北京語、韓国語、ベトナム語、スペイン語の6つの国の言語で条例の概要を説明するチラシを作成して、被害の防止と周知の拡大を呼びかけている。
茨城県は
4月1日に条例施行
茨城県の条例規制対象物となり得る品目
茨城県特定金属類取扱業に関する条例(出典 茨城県警察本部)
茨城県は金属類の盗難件数が2000年から5年連続全国ワースト1となっている。茨城県警のまとめによると、24年に発生した県内の刑法犯罪の認知件数は2万1094件で、前年より1300件以上増加した。このうち、金属類の盗難は3628件と前年より700件以上も増えている。内訳は太陽光発電施設の銅線ケーブルが67%と3分の2以上を占め、グレーチングが7%、水田のバルブや公園の蛇口が4%となっている。
被害の多発を受けて、茨城県は取引先の身分確認の徹底など買い取り業者への規制強化などを盛り込んだ新たな条例を制定し4月1日に施行する。現行の「茨城県金属くず取扱業に関する条例」から、条例名を「茨城県特定金属類取扱業に関する条例」に変更する。
茨城県特定金属類取扱業に関する条例(出典 茨城県警察本部)
茨城県の条例では、盗難被害にあいやすい鉄や銅などの材料やそれらの合金、製品などを「特定金属類」と定めている。取り扱い業者に対しては、売りに来た人の運転免許証や健康保険証などの身分証明書で本人確認をするとともに、証明書の写しを3年間保存することを義務づけている。
発電事業者に
多重的な対策を呼びかけ
罰則についても強化する。無許可営業や営業停止命令違反などをした場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金となる。本人の確認義務を怠ると、6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。茨城県警は、定期的なパトロールを実施するほか、発電事業者に対して防犯カメラや警報器、センサーライトの設置など多重的な対策を講じるよう呼びかけている。関東地方では、群馬県や栃木県も同様の条例制定を検討している。
3月14日(金)に開催する「ケーブル盗難対策ウェビナー」では、茨城県警察本部生活安全総務課 犯罪抑止対策第二補佐の小林俊之氏が「金属ケーブル盗難被害の特徴と対策」というテーマで講演します。
太陽光発電所オーナー向けにケーブル盗難対策ウェビナーを3月14日に開催します。被害状況や行政動向の最新情報、そして増えつつある低圧発電所の被害、対策ガイドライン解説、費用対効果まで、盗難対策の最新情報とノウハウを3時間で網羅します。
DATA
取材・文/高橋健一