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IoEプラットフォーム「Ecogenie+」がエネルギーサービス事業の創出を支援

PPA事業やDR、VPPなど、これからのエネルギーサービスに欠かせないエネルギーデータプラットフォーム。エネルギー管理のクラウドサービスを提供するNextDrive (ネクストドライブ) でプロダクトソリューション事業を束ねる小長井教宏氏に、IoEプラットフォームの最新状況を聞いた。

需要家サービスを起点にエネルギーリソースとデータの価値を創出

様々な分散エネルギー資源を繋ぎ
統合的な管理・運用を可能に

 いま、様々な企業のエネルギー関連事業のデータ基盤づくりをサポートし、注目を集めているNextDrive(ネクストドライブ)。同社は、IoTとソフトウェア技術・ハードウェア技術を統合し、ワンストップのエネルギーデータプラットフォームサービスを提供している。同社の技術・サービスを採用した企業は、2022年以降だけでも、コスモ石油マーケティング、出光興産、東芝エネルギーシステムズ、中海テレビ放送、エナリス、村田製作所など、枚挙にいとまがない。

 同社執行役員 プロダクトソリューション事業部 部長の小長井氏はいう。「弊社は、IoT技術とエネルギー技術を統合したIoE(Internet ofEnergy)によって”すべての電力の有効活用”を達成したいと願っています。その理想を現実のものとするために、電力会社、エネルギー企業、需要家企業それぞれに向けて、事業内容に応じたIoEプラットフォーム”Ecogenie+(エコジーニープラス)”をご提供しています。

 太陽光や蓄電池、EV(電気自動車)などの導入とともに、分散エネルギー資源を活用するための統合制御技術を確立することが求められます。そのはじめの一歩となるのが、分散エネルギー資源をネットワークに繋ぎ、データを取得し、コントロールするための仕組みづくりです。Ecogenie+はまさにこれを実現するものであり、様々な機器をメーカーに縛られることなく統合的に管理することを可能にします。さらに、需要家側に設置される分散エネルギー設備から、これらの分散エネルギー資源を活用したいと考える管理者側のハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス、ユーザーインターフェースまで一気通貫でサポートします」。

 そうした先進性が評価され、Ecogenie+は、2022年度「新エネ大賞」をエネルギーマネジメントシステムとして唯一受賞している。

 

エネマネコントローラー
「Atto」がもたらすもの

 クラウド上のプラットフォームと各種エネルギーデバイスは、データ収集ゲートウェイを介して、シームレスに連携する。NextDriveの “Atto(アット)” は、高度な演算能力を備えたスマートゲートウェイであり、上位側からの指示に基づいて配下のデバイスを制御するエネルギーマネジメントコントローラーとしても機能する。

「Attoは、エネルギー設備、家電機器などのデータ取得、可視化、コントロールを手軽に実現するために設計されました。蓄電池やEV充放電の統合管理など、ニーズに合わせた利用が可能です。取得データを活用したアプリケーションのハブとなるだけではなく、サードパーティアプリケーションを組み合わせたオープンプラットフォームの基礎としてもご活用いただけます」(小長井氏)。

幅広いデベロッパーツールで
顧客企業による開発を支援

 NextDriveは、同社のアプリケーションをそのまま使ってらうだけでなく、顧客企業がEcogenie+を活用した新たなアプリケーションを開発するための支援サービス「Developerプログラム」も用意している。

 「充実したデベロッパーツールと検証環境を提供し、各段階の開発ニーズにお応えしています。基盤となるエネルギー設備のネットワーク化から、クラウドデータへのアクセス、アプリケーション側のユーザー管理に至るまで、幅広くカバーします。Developerプログラムを使えば、ゼロから開発するために必要な人員・時間・コストを節約し、お客様のリソースをより効率的に運用していただくことができるでしょう」(小長井氏)。

 具体的な活用事例には、①PPA事業における再エネ自家消費量に基づく電気料金の課金・請求、②分散型エネルギーリソースのアグリゲーション (既存のリソースアグリゲーションシステムと連携し、上位システムの指令に応じて需要家設備を制御)、③DRの実現 (電力需給状況に応じた需要家への節電要請と実績データの検証)、④ZEH住宅の実現(スマートホーム管理システムと連携し、家庭内エネルギー設備のデータを収集)、などのサービスアプリケーションがあるという。

 

低圧リソースの 「群制御」や
EV充放電の最適化も可能に

 さらに最近では、Ecogenie+による、分散型電力システムの課題解決に向けた2つの取り組みが話題となっている。その1つが、家庭用蓄電池など低圧小規模リソースの「群制御」だ。低圧リソースについては、需給調整市場において2026年度より活用する方針が示されている。 ただ、現行システムでは、数万件に上ると予想される低圧リソースを取り扱うことができず、新たな制御技術の確立が求められていた。群制御はこの課題に対応するものであり、膨大な数のリソースを束ねて群として管理することで最適制御を図っていく。

 Ecogenie+には、群制御に役立つアプリケーション「DERコントロールモジュール」が用意されている。これを利用することで、これまでは難しかった膨大な数の低圧リソースを一斉管理することも可能になるという。同社は現在、蓄電池アグリゲーターとして国の補助事業にも参画しており、DERコントロールモジュールを活用した群制御に取り組んでいる。

 2つめは、電力データと移動データを掛け合わせた「EV充放電制御システム」 だ。 パイオニアとの協業により開発が進められているもので、EV導入事業者の電カコスト削減を可能にするという。 IoEゲートウェイ「Atto」により電力データ収集を行い、パイオニアが収集した車両の移動データと連携させることで、V2HだけではできなかったEV充放電の最適化を実現する。

 NextDriveのEcogenie+が、この先どんな成果をもたらすことになるのか、関心は高まるばかりだ。

 

PROFILE

NextDrive 株式会社
執行役員 プロダクトソリューション事業部
部長

小長井 教宏氏

問い合わせ


NextDrive 株式会社
〒106-0031 東京都港区西麻布3-19-22
TEL:03-6432-9616


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL(2023年EXPO号)より転載

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