ハンファジャパンが家庭向けサービスを統合 ENERICHが導くトータルエネルギーソリューションの最前線

ハンファジャパンが家庭向けサービスを統合。トータルエネルギーソリューションの最前線へ。太陽光パネル・蓄電池・電力サービスを1つのブランドに統合し、バラバラに提供されてきた住宅エネルギー関連サービスの一体化を図る。その狙いと内容を、7月に開催された説明会をベースに深掘りする。

 

家庭の電気を資産に変える
新ブランド「ENERICH」

住宅用太陽光・蓄電池の市場は、「できるだけ安く」というコスト選好と「導入しやすさ」というハードルの低さを軸に発展してきた。その一方で、太陽光パネル、蓄電池、電力サービスがそれぞれ別会社の組み合わせで提供される「他社×他社」の構造が一般的であり、一軒の家のエネルギーを一気通貫で支える仕組みは十分に整っていなかった。

ハンファジャパンは2026年7月、「事業戦略説明会」を開催し、この構造に風穴を開ける新ブランド「ENERICH(エネリッチ)」を発表した。同社がこだわるのは、企業や大規模施設のエネルギー戦略ではなく、あくまで「家庭」という単位だ。「家庭の電気を資産に変えるトータルエネルギーソリューション」をコンセプトに、個別のエネルギーサービスを統合し、より豊かな再エネライフの提案を図る。

ハンファジャパン株式会社
代表取締役 張 熙載氏

 

太陽光・蓄電池から電力まで家庭向けに「パッケージ化」

ハンファジャパンはENERICHで、より豊かな再エネライフの実現を目指す

ハンファジャパンは、太陽光パネルメーカーとして知られてきた。住宅向け市場においてトップシェア獲得の実績を誇り、近年はN型バックコンタクトによる高変換効率と、日本の住宅事情に合わせたサイズ感で支持を広げている。

そんなハンファジャパンが今年に入って発売したのが、同社オリジナルの蓄電池だ。そして、この蓄電池の名称は「ENERICH蓄電池」だった。つまり、蓄電池ブランドとして先行リリースされていた「ENERICH」を、今回、家庭向けエネルギーソリューション全体のブランド名として打ち出してきたのだ。

もちろん、名前だけの話ではない。ENERICHは、太陽光パネル・蓄電池・HEMS・買電・売電等をパッケージ化して顧客(家庭)に提供するトータルエネルギーサービスだ。ハンファジャパンでは、これを「電気を資産に変える再エネパッケージ」と定義している。発電し、蓄え、最適なタイミングで運用する――エネルギー全体をコントロールすることで、電気の価値の最大化を目指していく。

 

グループの総合力を活かし
「垂直統合モデル」を実現


事業戦略上の狙いは、家庭のエネルギーに関わる各種製品・サービスをバラバラに提供するのではなく、ENERICHという1つのブランドで統合し、相互に連系させることでシナジーを発揮させるところにある。具体的な役割分担は、太陽光パネルと蓄電池をハンファジャパンが、運用面(HEMS、買電、売電、VPP)をグループ会社のQ.ENEST(キューエネスでんき)が担う。発電・蓄電・運用の「垂直統合モデル」を、グループ内で完結させているのだ。

ENERICHが想定する対象は、新築・既築の戸建で、FIT・卒FIT・非FITそれぞれに顧客メリットを引き上げることができる。FITユーザーに対しては、つくって、ためた電気を、無駄なく運用することで「自家消費率の最大化」を謳う。卒FITユーザーに対しては、つくって、ためて、買って、売る、最適運用をとおして「売電利益の最大化(FITからの再設計)」が図れることをアピール。非FITユーザーに向けては、太陽光パネル導入時点から市場に合わせた最適運用をすることで「電気代削減効果を最大化」できると訴求する。
 

販売パートナーと連携し
「コンシェルジュ」を育成

ハンファではENERICH専門スタッフをコンシェルジュとして育成。このコンシルジュを擁するパートナー企業を「ENERICH販売店認定制度」で支援する。

ENERICHの特長の1つに、「コンシェルジュ」の存在がある。コンシェルジュは、ENERICHの多様な製品・サービスの中から、顧客に合わせた最適なパッケージを選定し、導入をサポートする。導入後も継続的に顧客に寄り添い、月次レポート作成やトラブル対応をするとともに、家族のライフステージに合わせて電気の価値を最大限に引き出していく。

このコンシェルジュを実際に務めるのは、各販売パートナー企業の担当者などだ。ハンファジャパンは、「研修・育成」「提案支援」「集客・販促」の3段階でコンシェルジュをサポートするとともに、「ENERICH販売店認定制度」を新設する。この認定制度では、販売店をプラチナ/ゴールド/シルバーの3グレードに分け、相応のインセンティブを付与していく方針だ。太陽光・蓄電池の物販提案にとどまらず、電力小売を含めたトータルな提案ができるパートナーを、段階的に育成していく狙いがある。

現在は販売パートナーへのコンセプト共有や体制づくりを進めており、家庭向けの本格サービス提供は2027年中を予定しているという。
 

フクロウが見守るなか
「共創の物語」が始まる

先の説明会には商社・販売パートナーが多数参加し、電気を「消費するもの」ではなく「資産」として捉え直すという発想への共感が溢れた。また、「トータルエネルギーソリューションを掲げる企業は多いが、実態を伴っているところは少ない。しかし、ハンファグループはメーカーとしてパネルや蓄電池をつくる一方で、電力事業の実績も豊富であり、言葉に実態が伴っている。売りやすい商材なので、ぜひコンシュルジュになってみたい」といった声が聞こえた。

「家庭の電気を資産に変え、将来的にはVPPで社会に貢献したい。その構想は、ハンファだけでは実現できません。ENERICHというトータルエネルギーソリューションを柱に、パートナー企業の皆様とともに、共創の物語をここから始めたい」という呼びかけで、説明会は幕を閉じた。

ENERICHのシンボルマークには、電気を象徴する「電球」と、知恵の象徴である「フクロウ」が描かれている。それは、電気を賢く運用し、より豊かな未来へつなげるブランドの理念を表現しているという。ハンファジャパンとパートナー企業の取り組みに、期待が膨らむ。

問い合わせ

ハンファジャパン株式会社
東京都港区芝四丁目10番1号 ハンファビル9階
TEL:03-5441-5900(代表)


取材・文/廣町公則

SOLAR JOURNAL vol.58(2026年夏号)より転載

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