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需給ひっ迫注意報/警報と準備情報の違いは? 今夏・今冬の最新の需給予想

今年6月、東京電力管内を中心に電力需要がひっ迫し、国が初めての「需給ひっ迫注意報」を発令したことは記憶に新しい。改めて、需給ひっ迫注意報/警報と準備情報との違いや、発令されるタイミングについて解説するとともに、今夏・今冬の電力需給について最新の見通しを紹介する。

予備率に応じ警報/注意報を発令
準備情報では注意喚起にとどまる

需給ひっ迫注意報/警報を発令する目的は、電力需給がひっ迫する可能性を事前に幅広く周知することだ。そのため、供給力に対する想定需要の割合などを示す広域予備率が一定の値を下回った場合に需給ひっ迫注意報/警報が発令される。

具体的には、広域予備率が3〜5%と予想される場合には需給ひっ迫注意報が、3%未満の場合には需給ひっ迫警報が発令されることになっている。

(需給ひっ迫準備情報と需給ひっ迫注意報/警報の発出されるタイミングの違い。出典:経済産業省)

需給ひっ迫注意報/警報が資源エネルギー庁から発令されるタイミングは、需給ひっ迫が予想される前日の16時ごろ。上図の通り、前々日の18時ごろには、あらかじめ一般送配電事業者各社が「需給ひっ迫準備情報」を発出し、需要家に対する注意喚起を行うことになっている。

一般的に、電力需給の予想は、最新の気象予報や供給力の見通しなどによって左右される。そのため、当日に近づくほど予想の精度が上がるとされ、需給ひっ迫注意報/警報は前日に発令される。

(需給ひっ迫準備情報と需給ひっ迫注意報/警報で求められるアクションなどの違い。出典:経済産業省)

需要家に求められるアクションとしては、前々日の需給ひっ迫準備情報の段階では節電準備の依頼にとどまる。一方で、前日の需給ひっ迫注意報/警報では、ひっ迫の程度に合わせ、実際に節電依頼が行われることになっている。

8〜9月の予備率も依然厳しく
今冬はさらに厳しい見通しに

今夏・今冬は、全国的に電力需給がひっ迫する見通しとなっている。経済産業省の6月末時点の予測によると、10年に一度の猛暑を想定した需要に対する、今年7〜9月の予備率は以下の通りだ。

(10年に一度の猛暑を想定した需要に対する予備率。出典:経済産業省)

いずれのエリアでも安定供給に必要とされる予備率3%を上回っているものの、東北から九州の8エリアにおいては依然として低い値が予想されている。

また、2022年12月〜2023年3月までの冬季の電力需給は、下図の通り、さらに厳しい見通しが示された。特に、来年1〜2月には、複数のエリアで予備率3%を下回る予想となっており、一層の対策が求められている。

(10年に一度の厳寒を想定した需要に対する予備率。出典:経済産業省)

こうした見通しを受け、経産省は電力の需要と供給の両面から対策を講じてきた。供給側では、追加的な供給力を集めるための公募を実施し、需要側においては節電や省エネの推進に力を入れているところだ。

さらに、需給ひっ迫を構造的に防ぐための対策として、脱炭素電源などへの新規投資を推進する施策を具体化するとしている。


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DATA

経済産業省 第52回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会


文:山下幸恵(office SOTO)

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