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ため池ソーラー 農業用水の安定確保に貢献

全国各地で再生可能エネルギーの導入が進むなか、太陽光パネルの新たな適地を探す取り組みが進められている。今年11月、大阪府と長野県の農業用ため池にメガソーラーを設置するプロジェクトが相次いで公表された。障害物が少ない水上で効率的に電気を発生するとともに、事業者がため池の維持管理を行い、農業用水の安定確保を目指す取り組みが注目を集めている。

いちご、長野県の
農業用ため池にメガソーラー

いちご上田吉田池ECO発電所(長野県上田市)

サステナブルインフラ企業のいちごは、長野県上田市の農業用ため池に太陽光パネルを設置し、11月11日に出力約1.16MWの「いちご上田吉田池ECO発電所」の操業を開始した。ため池の中の約2万3,634㎡に太陽光パネル2,136枚を設置し、年間予測発電量は約140万6,766kWhで一般家庭約469世帯分の年間消費電力に相当する。パネルはLONGiソーラー製(中国)、パワーコンディショナーはHUAWEI製(中国)を採用している。

いちごの太陽光発電所は11月末時点で63件となり、総発電量は174.286MWに達した。稼働予定を含む確定案件数は65件、合計出力は195.26MWになる。同社は太陽光、風力に次ぐ第3の電源として国内の間伐材を活用したバイオマス発電所の開発に加え、非FIT型太陽光発電の開発に向けた取り組みに着手している。

ため池ソーラー
水冷効果で発電効率がアップ

ため池ソーラー社の光明寺池発電所(愛知県幸田町)

農業用ため池に太陽光パネルを設置する専門の会社が大阪市にある。2008年に設立された「ため池ソーラー社」だ。関西地方を中心に30カ所以上のため池などに太陽光パネルを設置し、2019年には台湾にも進出している。同社は、ため池ソーラーには次のようなメリットがあるとしている。

1.発電効率が高い

太陽光発電は、一般的にパネルの温度が1度上昇するごとに0.4%程度発電効率が低下するといわれている。2014年と2015年に兵庫県が行った実証実験では、水上ソーラーは水冷効果がはたらき、陸地に比べて年平均14%以上も発電効率がアップすることが確認されている。

2.地代が安い

ため池は固定資産税がかからないため、用地代が安価で済む。

3.産業廃棄物が出ない

コンクリートの基礎が不要な水上ソーラーの場合、産業廃棄物となるコンクリート廃材などが発生しない。解体費も比較的安価となり、預かり金 (保証金)が少なくて済む。

4.着工までの期間が短い

ため池には法的規制がないため 「許認可の手続き」が不要で、電力会社との連携協議が済めば工事に着手できる。

5.水質の改善効果

太陽光パネルが水面を覆うことで藻の発生を抑制し、水質改善効果が期待できる。

三井住友建設
ため池の維持管理を実施

完成イメージ図(出典 三井住友建設)

三井住友建設は11月15日、大阪府泉佐野市にある3つの農業用ため池に太陽光発電所を新設し、オフサイトコーポレートPPAを行うと発表した。この事業は泉佐野市が所有する3つの農業用ため池(貝の池、穂波池、植田池)の水上を活用して、三井住友建設が太陽光発電事業を行う。泉佐野市が出資する一般財団法人泉佐野電力との電力売買契約(25年間、固定価格)に基づいて発電電力の全量を売電する。三井住友建設は泉佐野市にため池の賃貸料を支払って発電事業を行い、ため池の維持管理も行う。出力は2,797kW。商業運転の開始は2023年6月の予定。

全国各地の農業用ため池は、地元の自治体や土地改良区などが維持管理を行っている。しかし、農業後継者の不足や管理者の高齢化などに伴い、堤体の補修や草刈り、ゴミの撤去などの維持管理が重い負担となっているケースが多い。泉佐野市の太陽光発電事業は、農業用ため池の利用価値を高めるとともに、事業者が堤体などの維持管理を行うため、農業用水の安定確保につながるとして全国の農業関係者が関心を寄せている。

DATA

いちご ニュースリリース
ため池ソーラー社 ホームページ
三井住友建設 ニュースリリース


取材・文/高橋健一

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