注目キーワード

政策・マーケット

再エネ導入へ州政府が動き出した! 米国の太陽光発電市場の動向は?

米国の2019年第2四半期の太陽光発電システム新規導入量は、前年度から7%減少した。トランプ政権は再生可能エネルギーに後ろ向きといわれているが、州政府が再生可能エネルギーの導入政策を強化していたり、民間企業の太陽光発電導入が活発化している。

米国、太陽光発電システム
新規導入量の減少、何が影響?

米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)は、が英・Wood Mackenzie Power & Renewablesと共同で発表した「U.S. Solar Market Insight Report 2019 Q3」によると、米国の2019年第2四半期の太陽光発電システム新規導入量は、前年同期比7%減の2.1GW(DC、以下同)であったと発表した。

米国の2019年第1四半期の太陽光発電システム新規導入量は第1四半期の導入量としては過去最多の2.7GWであったので2019年の上期に米国において4.8GWの太陽光発電システムが導入されたことになる。

第2四半期は、住宅用太陽光発電システムの導入量は前期比3%増、前年同期比8%増となる628MWで、4四半期連続で600MW超が導入された。非住宅用太陽光発電システムの導入量は前期比2%減、前年同期比16%減となる426MWで、カリフォルニア州、マサチューセッツ州、ミネソタ州等での政策変更が影響し、前期比で減少したという。



米国においては電力事業用が市場を牽引しているが、第2四半期の電力事業用太陽光発電システムの導入量は1,023MWで同期の導入量全体の49%を占めた。建設中のプロジェクトが8.7GWあり、2019年上期に新たに発表された電力事業用太陽光発電プロジェクト開発計画は11.2GWで、同期末におけるプロジェクト・パイプライン(電力購入契約(PPA)締結済)は過去最高の37.9GWとなった。

これらのプロジェクトが今後実現していくことを考えると、電力事業用が今後の数年間市場を牽引していく模様である。2019年通年の米国太陽光発電市場について、Wood Mackenzieは、 前年比17%増の12.6GWと予測している。
米国のトランプ政権は再生可能エネルギーに後ろ向きといわれているが、州政府が再生可能エネルギーの導入政策を強化している。

たとえば、ニューヨーク州が2030年までに同州の発電電力の70%を再生可能エネルギー源とし、2040年までに電力を100%カーボンフリーとする法律を策定し、メイン州でも再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準(RPS)を2050年までに100%に引き上げる法案が成立した。

ウィスコンシン州でも2050年までに州のエネルギー・ミックス脱炭素化を目指す州知事令(州知事令38号)が発布され、2050年のエネルギー・ミックスの100%脱炭素化を目指すことが決定した。ハワイ州、カリフォルニア州に続いて脱炭素100%州の数が増えてきている。



相次ぐ、太陽光発電関連の法案
政策と民間の動きとは

一方、米国議会においては、太陽光発電に関わる法案の提出が相次いでいる。

2019年8月には、米国議会に太陽光発電向けの投資税額控除(ITC)の控除率を30%のまま5年間延長する法案が上院と下院で提出された。ITCは、2019年末までに着工する太陽光発電プロジェクトに30%の控除率が適用されるが、2020年に26%、2021年に22%へ縮小され、2022年には住宅用のITCは終了、産業用は10%となることが定められている。

米国議会上院では、Catherine Cortez Masto上院議員(民主党、ネバダ州)が法案S2289を提出した。米国議会下院では、Mike Thompson下院議員(民主党、カリフォルニア州)、Paul Cook下院議員(共和党、カリフォルニア州)、Brian Fitzpatrick下院議員(共和党、ペンシルベニア州)が同様の法案HR3961を提出した。この法案が実際に成立するかどうかは現時点では不明であるが、下院における法案提出が民主党と共和党の両党によるものであることは注目される。

9月には、米・メイン州の共和党上院議員と米・ニューメキシコ州の民主党上院議員は、米国における分散型再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、電気自動車(EV)充電システムのコスト低減及び認可制度の簡易化を目指す超党派の法案「米国エネルギー機会法」を提出した。



5年間にわたり毎年2000万ドルの連邦予算を引き当てる計画で、無料のオンライン認可申請ポータルの構築により、自治体による分散型再生可能エネルギー・プロジェクトの認可申請の受領、審査、承認を可能に、手続きの迅速化・標準化・効率化を図る。この法案も民主党・共和党両党によるものである。共和党においても再生可能エネルギーを支援する動きがでていることが見てとれる。

政策の動きとは別に、民間企業による再生可能エネルギーの導入も活発化している。SEIAがこの7月に発表した「Solar Means Business 2018報告書」では、太陽光発電を導入した企業のランキングが発表されており、トップ10は以下の通り。

第1位:米・Apple(393.3MW)
第2位:米・Amazon(329.8MW)
第3位:米・Target(242.4MW)
第4位:米・Walmart(208.9MW)
第5位:米・Switch(179.0MW)
第6位:米・Google(142.9MW)
第7位:米・Kaiser Permanente(140MW)
第8位:米・Prologis(126.3MW)
第9位:ベルギー・Solvay(81.4MW)
第10位:米・Fifth Third Bank(80MW)

トランプ大統領は、再選を目指す意向を表明しているが、再エネに後ろ向きな大統領が続投したとしても米国市場は堅調に成長していくと考えられる。

DATA

文/資源総合システム 調査事業部 部長 貝塚泉

関連記事

太陽光関連メーカー一覧

アクセスランキング

  1. 「ノンファーム型接続」とは? 再エネ拡大のカギ握る送電ルール見直し
  2. 自家消費の次なる手段「自己託送」のメリット・デメリット
  3. 日本唯一の卸電力取引所「JEPX」とは? 取引価格はどう決まる?
  4. 自分の電気で自宅で過ごそう! 我が家で自家消費をするための準備は?
  5. カーボンニュートラル宣言から10ヶ月「なぜ脱炭素が必要なのか」原点に戻って考える...
  6. なぜ日本で洋上風力が広まらないのか? 参入における2つの障壁とは
  7. 太陽光発電、導入量米国No.1! カリフォルニア州の注目制度、CSIとは
  8. 改正温対法の「ポジティブゾーニング」とは? 許認可をワンストップとする特例も...
  9. 養殖マグロで発電!? 小学生のエネルギー戦略が凄い!
  10. 第6次エネルギー基本計画の素案まとまる! 2030年エネルギーミックス暫定版も提示...

フリーマガジン

「SOLAR JOURNAL」

vol.38 | ¥0
2021/7/30発行

お詫びと訂正

ソーラー電話帳 SOLAR JOURNAL メディアパートナーズ 太陽光業界最新ニュース