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コロナによる電力需要減を受け、日本でも「再エネ主力電源化先取り」の兆しが!

新型コロナウイルスの感染拡大は、エネルギー需要に大きなダメージを与えている。それにより、低コストな再生可能エネルギーの拡大が生じつつあるという。再エネの観点から見る、コロナ禍で起こった出来事と今後の予想とは? エネルギージャーナリスト・北村和也氏の連載コラム第16回。

コロナはエネルギーにどう影響を与えたか。

新型コロナによる緊急事態宣言が、東京などの大都市を除いて多くの府県で解除された。いったんは収束の方向かもしれない。しかし、これは決して終わりを意味する「終息」ではない。第二波、第三波の可能性は高く、当分私たちは新型コロナと付き合うことになる。

こんなに生活が一変する出来事が起きるとは、年の初めには誰も考えもしなかった。少なくない人たちが収入源を絶たれたり、困窮したりする中で、当然であるがエネルギーも大きな影響を受けている。

今回のコラムでは、エネルギーというカテゴリーの中で、大規模な自粛で起きた出来事と今後予想されることを、特に再エネという観点から簡単にまとめてみた。

エネルギー需要の急激な落ち込み

筆者が一番驚いたのは、原油の価格が一時マイナスになったことである。原油マーケットはいくつかあるが、4月20日のニューヨークの原油先物(WTI)がマイナス37ドル後半という値を付けた。マイナス価格というのは想像しにくいかもしれないが、要するにある物を引き取るとさらにお金がもらえるというある意味で夢のような話である。

なぜそんなことが原油で起きたのであろうか。アメリカのガソリンや航空燃料などの需要が急激に落ち込んで、オクラホマ州にある原油のタンクがいっぱいになり、原油の保存場所に困る背景があったとされている。

ドイツでは再エネ電力の供給が過剰になった時に、ネガティブプライス(マイナス価格と同じ)という同じ現象が起きる。昨年は1年間で210時間に及んだ。基本的には大量の貯蔵が難しい電気だから起きるので、化石燃料には当てはまらないと思っていた。冷静に考えれば、あまりに大きな需要の落ち込みが起きると、エネルギーの生産調整が間に合わず対処にたいへん困ることもあり得るのである。

4月末にIEA(世界エネルギー機関)が、「Global Energy Review 2020」という報告書を出した。現在のような交通を含む社会経済活動が数か月にわたって世界で続くと、2020年の通年の一次エネルギー需要は6%減少するとみている。これは過去70年間でパーセンテージとしても数量としても最も大きくなる。国、地域別では、EUとアメリカが10%前後、中国が4%、日本は8%のマイナスと予測されている。

電気にスポットを当てると、通年で5%の減である。電力需要がロックダウンを行ったいくつかの国では20%以上のマイナスとなっている。ちょうど日曜日が続いているような需要パターンとIEAは分析している。


電力卸売価格の大幅下落とほぼ「ゼロ円」の出現

日本では、JEPXのスポット価格が大きく下がっている。4月第4週の平均価格は平日で昨年を4割下回って1kWh当たり5円、土日ではほぼ5割安くなった。例えば連休中の5月5日のシステムプライスはほぼ3円/kWhと驚異の低さである。午前7時半から午後3時半の8時間は、1kWhの価格0.01円とほぼゼロ円になっている。

連休が明けた13日時点でも、システムプライスの全時間帯の平均単価が3.67円と新型コロナによる需要減の影響が色濃く出た。ほぼゼロ価格も8時と10時から12時半まで現出している。また、地域ごとのエリアプライスでも、時間帯の長さはばらつきがあるが、東京エリアを除くすべての地域で「ほぼゼロ円」が現れている。

これは新型コロナによる電力需要の低下が最大の原因である。生産活動を中心に需要が減ったので価格が落ちたわかりやすい例ともいえる。しかし、それだけでは説明しきれない大きな要素がある。それは、再エネ電力の拡大である。

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