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コロナによる電力需要減を受け、日本でも「再エネ主力電源化先取り」の兆しが!

化石燃料の大幅な落ち込みと再エネの伸び

先に示したIEA(世界エネルギー機関)の報告書では、個別の燃料についてのデータも公表している。

一次エネルギーで見ると、石炭需要は通年で8%のマイナス、石油は9%減で2012年のレベルに戻る。天然ガスは5%、原子力は2.5%程度のそれぞれマイナスである。一方、再エネは拡大し、全体でおよそ1%の増加となる。

中でも再エネ発電は5%増え、2020年の全発電量の30%に達すると予想している。その要因をIEAは、多くの国で電力系統への優先的なアクセスがあること、運用コストが安いことなどを挙げている。
 
「コスト」について、ドイツの例から示したい。

ドイツ、ベルリンの著名な再エネの研究機関、アゴラ・エナギーヴェンデがドイツの第1四半期の電力需要などを分析した。1月と2月は比較的温暖だったこと、3月からは新型コロナ禍で生産サイドの需要が大幅に減ったことが全体需要を押し下げた。

この中で、石炭火力発電による発電量が前年の同じ時期に比べて37%減少した。この結果、ドイツ全体の発電量に占める石炭の割合は20%に届かなかった。

一方で、再エネによる発電量は冬の強風の後押しなどで14%増加してドイツの消費電力の52%と5割越えとなった。石炭による発電量は再エネ発電の半分にまで落ち込んだ。原子力発電でさえ、好調な再エネ発電のために抑制がかかったという。

アゴラ・エナギーヴェンデの分析のポイントは、限界費用の差である。再エネ、特にVRE(可変的再エネ:風力発電と太陽光発電)は、1kWhを新たに発電するためにかかる費用(=限界費用)が基本的にゼロ円である。

このため、需要が減って発電を止める時には、原料費のかかる発電施設(=限界費用が高い施設)からストップする。ドイツではコロナ禍の急激な電力需要減が加わって、石炭発電が激減し、再エネが増加することになった。

また、十分な電力供給ができる時には、いわゆるメリットオーダーの原則によって限界費用の安い電力から使われ、価格も再エネの示す安価に張り付くのである。


コロナ後と再エネ

日本で起きた「ほぼゼロ円」のJEPXスポット価格も、構造としてはドイツでの現象と似ている。ドイツほど再エネが普及していないが、急速な需要減で再エネ電力の割合が増えたのと同様の効果が出たことになる。コロナは、日本での「再エネ主力電源化の先取り」を示したともいえる。

IEAやドイツの研究機関の報告はそろって、コロナの影響下も再エネの拡大が続くことを示している。それは、限界費用から見た理論的にも、実際の数字としてのデータとしても明らかである。もちろん、今回の大きな需要減は永続的ではない。しかし、再エネ電力のコストが今後低減方向であることは確実で、需要が戻ったところで、再エネ主力の既定路線に戻るだけである。

加えて重要な要素を忘れてはならない。それは、コロナが私たちに思いださせた2つのことである。

一つは、地域がすべての基本であり、地に足の着いたことが最も大事だということである。グローバル化は否定されたわけではないが、人々はより地域に意識を向けるようになった。世界とのつながりは、個々の暮らしが安全で安心であることが前提だと思い知ったのである。地域での安心安全は、エネルギーでいえば地産地消となる。非常時のエネルギーも考えながら、エネルギーは地域で作ること、つまり分散型の再エネが合理的であり、当たり前になる。

もう一つは、突然、世界的に襲い掛かる厄災が、現代というこの時代でも降りかかることがあるということである。実は、私たちは今、別の危機を目の前にしている。温暖化=気候危機という全世界をターゲットにした大きな敵に相対しているのである。残念ながらこれまであまり気に留めていなかった人たちも多かったかもしれない。しかし、気候危機が世界を恐怖に陥れる未来を、コロナを知った今、想像しやすくなったに違いない。

再エネは、温暖化防止の切り札である。アフターコロナのエネルギーは、多面的に見て再エネを中心に回っていく。

プロフィール

エネルギージャーナリスト。日本再生可能エネルギー総合研究所(JRRI)代表。

北村和也

エネルギーの存在意義/平等性/平和性という3つのエネルギー理念に基づき、再エネ技術、制度やデータなど最新情報の収集や評価などを行う。
日本再生可能エネルギー総合研究所公式ホームページ

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